| 2006.9.4-10.6 : 伊藤義彦「水のなか」 |
|
夏の終わり、まだ少し暑さの残る公園へ行った。天気が急変した。上空に黒雲が現れ、稲光と大きな音を立てて、雨が降り始めた。雷鳴が轟き、滝のように降りそそぐ雨は、公園から子供たちの声を奪った。雷鳴と雨音はますます大きくなり、公園じゅうにひびきわたり、ところどころに小川ができた。しかし、そんな大雨もいつの間にか小雨になり、止んだ。 「ここは初めて来た所なのに“前に一度来たような気がする”と思うような事がある。すれ違う人や情景が、何時かと同じように感じるのだ。こんな日は“何だか妙なものがくっついてしまったな”と思いながら歩き回る事になる。妙なものを携えて歩いていると、普段歩き回っているときよりも、景色の一つひとつが新鮮に見えたりするから、不思議である。そうして、ようやく三脚を立てる。止まる事を知らない相手を一瞬止め、言いようのない感覚を獲得する。触れる事の出来ないものを、触れる事のできるものに変えて、身近に置きたいと思う。」と作者は語っています。 「水のなか」は「パトローネ」シリーズの3作目となりますが、主に定点観察の方法で撮影し、日本古来の絵巻の特徴である時空間表現を参考にしながら、複数のプリントを裂き、貼り合わせて、再構成するモザイクの手法で制作しています。 また、これらの作品は、従来のコラージュ手法とは異なる、作者独自の写真表現と言えるでしょう。今回は新作20余点を発表致します。 伊藤義彦(いとう よしひこ) |
|||||