川田 喜久治

Eureka 全都市

2001.10.3(水) - 10.31(水)
Photo Gallery International

川田 喜久治

Eureka 全都市

2001.10.3(水) - 10.31(水)
Photo Gallery International

  • ©Kikuji Kawada

川田喜久治は、日本人の敗戦の記憶を記号に満ちた強烈なモノクローム写真でまとめた伝説的な作品集「地図」(1959-1965年)や、天体気象現象と地上の出来事を混成した壮大なスケールの黙示録的な作品集「ラスト・コスモロジー」(1979-1997年)など、濃密で象徴的な映像世界で知られる現代の日本を代表する写真家の一人です。

 

今回発表される最新作「Eureka 全都市」は1999年から2001年にかけて各地の都市で撮影されたものであり、近年川田が積極的に取り組んでいるデジタル・イメージング(デジタルによる撮影+処理+出力)による作品です。

 

これらの作品で川田は、都市を即興的に断片化し、そこで新たな時間軸とパースペクティブを取り込みながら、それらを多元的にリミックスすることにより、複雑で幻想的なイメージを出現させています。それらは現代社会に潜む様々な状況を暴き出しながら、人類の未来をも予見させるメタファーを含んでいます。

 

Eureka(=ユリイカ)とは、アルキメデスが王冠の金の純度を測る方法を考えついたときに発した叫び声とされていますが、それはまさに斬新な映像魔術を獲得した作者自身の声であると同時に、きわめて刺激的なこれらの作品への見る者の驚嘆の声ともシンクロするでしょう。

 

本展はデジタル・カラー・インクジェット・プリント約40点を展示致します。

川田 喜久治(かわだ  きくじ)
1933年 茨城県生まれ。立教大学経済学部を卒業後、新潮社に入社。1959年よりフリーの写真家となり、東松照明、奈良原一高、細江英公らと共にセルフエージェン シー「VIVO」を設立。1961年「地図」(富士フォトサロン)、1974年「New Japanese Photography」(ニューヨーク近代美術館)、1986年 「ロス・カプリチョス」(P.G.I.)、1991年「日本写真の転換」(東京都写真美術館)、1996年「ゼノン:ラスト・コスモロジー」 (P.G.I.芝浦)、1998年「カーマニアック」(P.G.I.芝浦)など個展開催およびグループ展出品多数。1965年「地図」(美術出版社)、 1971年「聖なる世界」(写真評論社)、1998年「世界劇場」(kkk/PGI)などの写真集を出版。1996年 日本写真協会年度賞、東川賞国内作家賞を受賞。作品は東京国立近代美術館、東京都写真美術館、ニューヨーク近代美術館、パリ・ポンピドウ・センターなど国 内外の多くの美術館にコレクションされている。