久保田 博二

アジアの映像

2001.6.1(金) - 6.30(土)
Photo Gallery International

久保田 博二

アジアの映像

2001.6.1(金) - 6.30(土)
Photo Gallery International

  • ©Hiroji Kubota / Magnum Photos

久保田博二は、世界を舞台に活躍する写真家集団マグナム・フォトのメンバーであり、ただ一人のアジア出身の写真家です。そして、これまで多くの国々を駆け巡り取材してきた中で、「アジア」を重要なテーマとして撮り続けています。


20世紀終わりの4半世紀のアジアを見つめ、戦後の政治経済の動向、民族の祭典、都市と自然、環境、食料問題など、あらゆるアングルから冷静かつ的確な眼 を向けて、それらの映像を記録しています。国土の広さ、歴史、文化において、アジアの中心的な存在として中国を捉え、また緊張状態の続いていた韓国や北朝 鮮へ取材にも多くの時間とフィルムを費やしました。


今回発表するポートフォリオは、1978年から95年までに撮影した、中国、韓国、北朝鮮、日本、ミャンマー、インドネシアの作品から、作者自身が厳選し た重要な映像を36点にまとめた作品群です。1992年頃から数年を費やして制作された作品は、すべてダイトランスファー・プリント(染料転写方式)のカ ラー作品です。
これらのプリントを制作するきっかけとなったのは、ある一人のプリンターとの出会いでした。彼は画家をめざしドイツに渡ったインド出身の人物でした。すで に著名な写真家の作品を手がけ、高い評価を受けていましたが、久保田作品との出会いは、職人的な多色刷りの技術によって色彩の表現力を最大限に発揮させる ことになりました。ドキュメントとしてのカラー写真がプリンターのマジックによって色付けされ、その画像は、まさに「現代の浮世絵」と呼べる芸術作品として蘇った、と刷り上がったプリントを初めて見た時の感動を久保田はそう語っています。

(注)ダイトランスファープリントはシアン、マゼンタ、イエロー、三色の染料を使用した転染法によるカラープリントで1945年にコダック社が発表した手法です。このプロセスは作業が複雑で熟練を要するためにコストも高く、量産には向いていないプリント方式でしたが、カラー分解による微妙な色のコントロールや暗部の階調描写が可能なため、作者の意図を十分に表現する作品制作に最も適した手法と言えます。しかし近年のデジタル画像処理の普及におされて、1990年初めに専用フィルムなどが製造中止となり、現在では制作が難しくなりました。

 

 

 

PGI Exhibitions

2009.9.9 – 10.17 アメリカとビルマ

2001.6.1 – 6.30

「アジアの映像」

1988.11.18 – 12.17

「桂林夢幻と中国万華」