原 直久

蜃気楼 IV

2018.5.9(水) - 7.7(土)
PGI

原 直久

蜃気楼 IV

2018.5.9(水) - 7.7(土)
PGI

  • ©Naohisa Hara

  • ©Naohisa Hara

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  • ©Naohisa Hara

 

原直久作品展 「蜃気楼 IV」

2018年5月9日(水) − 7月7日(土)

 

PGIでは原直久作品展「蜃気楼 IV」を開催いたします。原直久はヨーロッパやアジア各地の都市風景を8×10インチの大型カメラで撮影し、確かな技術で美しいプリントに仕上げた作品で知られています。本展ではそれ以前から制作を始めていた海の造形や風景をテーマにした「蜃気楼」シリーズを30年ぶりに展示いたします。

 

原直久はパリやイタリア山岳都市などヨーロッパの、そして近年ではアジア各地の変わりゆく都市風景を8×10インチの大判カメラで撮影した作品で知られている写真家です。そのプリントは完璧な技術により揺るぎない美しさを湛え、日本のみならず海外でも多くのファンを魅了しています。2017年秋には台湾の国立歴史博物館で大規模な回顧展が開催されました。

 

もっぱら都市風景の作品で知られていますが、最初に制作した写真作品は九十九里浜の海から始まったこの「蜃気楼」のシリーズです。房総の海を自分のアトリエと呼び、海をテーマにした「蜃気楼」を自らの原点、特別な存在として位置づけています。厳寒の海で何度も目にした蜃気楼現象をタイトルに据えたこのシリーズでは、自然が作り出す美しい造形や風景を撮影しながら、作者はそこに夢想と現実の中に揺れる蜃気楼を見いだしています。

撮影を始めてから早い段階で、同じ場所を撮影した2枚のネガを左右反転させ重ねて合成プリントしたシンメトリックのサブシリーズを制作しました。自然の造形を反転合成したシンメトリック作品は、まるで万華鏡のような、怪奇的で生命体のような不思議な調和を持つイメージに生まれ変わっています。

 

本展ではほとんどが未発表であったシンメトリックの作品を中心に、蜃気楼シリーズの代表作を30年ぶりに展示いたします。ゼラチンシルバープリントによるモノクロ写真作品 25点展示予定。

 

昨年、9月から11月にかけて台北の台湾国立歴史博物館展で自身の回顧展と言っても良いモノクローム100点、カラー65点,計165点で構成した初期千葉県の海で撮影した蜃気楼シリーズから、今世紀に入ってのアジアシリーズまで含めた大規模な展示会を開くことが出来た。またその終了後、高雄の東方デザイン大学でも展示会場は2か所に分かれたものの、ほぼ同じ規模の展示をし、そして本年1月から2月にかけて台北の1839當代ギャラリーでモノクローム作品40点の展示を行ったが、どの会場でも初期の蜃気楼シリーズに注目が集まったのに驚いた。これは将来の目標を広告写真の世界から自然景観写真に転身させるきっかけになった重要なテーマである。

 この九十九里浜、銚子岬は千葉県の北東海岸で、自宅から1時間余りで行ける距離にあったというのも好都合であり、夜明け前に車で足しげく通った事を思い出す。シンメトリック蜃気楼のシリーズは、8×10インチのカメラを持ってはじめて九十九里浜へ撮影に出掛けたのであるが、これまでの4×5インチの撮影とは勝手が違い、思うような撮影が出来なかった。その不甲斐なさにプリントする気にもならず、そのままにしておいた。しかしある時2枚のネガをひっくり返して見ると、突如砂浜からニンフのような不思議な生き物が現れたように見えて興奮し驚いたのがこのシリーズのきっかけである。もし、最初の撮影行で手ごたえを感じるような作品が撮れていたら、このシリーズは生まれなかったのではないかと思う。自身の技量不足が怪我の功名のように写真の神様が手助けして微笑んでくれたのではないかと感謝している。

 海岸に立ち、力強く繰り返す波の音を聴きながら水平線や波に負けじと踏ん張る岩達を見ていると何故か勇気が湧いてくるから不思議である。幸い多少時間に余裕が出来たこともあり、千葉県の海に拘る事なく海岸線という不思議な魔物に再挑戦したい。

 この撮影行にも1980年代以降はレンズの本数、フィルムホルダーの数等、装備が大きくなり、卒業生である研究室のスタッフ諸君の力を借りて行った。私の仕事はヨーロッパそれにアジアのシリーズも卒業生諸君の手助けがなかったら出来なかったのである。正に教師冥利に尽きるものであり、感謝の念でいっぱいである。

 

原直久

原 直久(はら なおひさ)

1946年千葉県松戸市生まれ。1969年日本大学芸術学部写真学科卒業。1971年日本大学芸術研究所修了。

1976年~77年文化庁派遣芸術家在外研修員としてフランス、ドイツで研修。1984年~85年日本大学長期海外研究員としてパリを拠点に研究および制作活動を行う。2017年 日本大学を定年退職。現在 日本大学非常勤講師。

近年の主な個展に、「時の遺産」(国立歴史博物館、台湾台北  2017年)、「アジア紀行:北京・胡同−拆」(フォト・ギャラリー・インターナショナル(現PGI) 2013年)「Nostalgia」(BOMギャラリー、韓国ソウル  2010年)、「アジア紀行:台湾」(2009年)「アジア紀行:韓国」(2005年)、「欧州紀行」(2003年)、「ヴェネツィア」(2000年)、「ヨーロッパ:プラチナ・プリント・コレクション」(1997年)[いずれもフォト・ギャラリー・インターナショナル(現PGI)で開催]などがある。

グループ展に「プラチナ・プリント収蔵作品展 – 永遠の時、きらめく」(清里フォトアートミュージアム  2015年)、「第7回eco展」(韓国ソウル  2012年)、「松戸の美術100年史」(松戸市立博物館  2011年)、「第6回eco展」(韓国ソウル  2010年)、「未来を担う美術家たち DOMANI・明日展 2008 <文化庁芸術家在外研修の成果>」(国立新美術館  2008年12月〜2009年1月)、「Viva! ITALIA」(東京都写真美術館  2001年)、「プラチナ・プリント ― 光の誘惑」(清里フォトアートミュージアム  2000年)、「ヘルテン国際写真フェスティバル’ 99」(ヘルテン、ドイツ  1999年)がある。

 

 

 

PGI Exhibitions

2013.3.6 4.27 アジア紀行:北京・胡同 − 拆

2009.10.21

11.20 アジア紀行:台湾
2005.10.12 11.11 アジア紀行:韓国
2003.10.1 10.31 欧州紀行
2000.2.15 3.31 「ヴェネツィア」
1997.5.8 6.27 「ヨーロッパ・プラチナプリント・コレクション」
1995.10.3 11.10 「スペイン」
1993.5.18 6.18 「パリとイル・ド・フランス」
1991.10.3 11.8 「イタリア山岳丘上都市」
1988.6.6 7.2 「蜃気楼−Ⅲ」
1986.6.3 6.28 「ヨーロッパ ’84 – ’85」
1984.5.8 5.31 「イタリア」
1983.6.3 6.30 「La France」
1982.6.4 7.3 「イタリア山岳都市」
1981.5.7 5.30 「蜃気楼−Ⅱ」
1980.11.7 11.29 「PARIS−Ⅱ」
1979.5.11 6.4 「PARIS」