藪本 絹美

肌理

P.G.I. 10 Days Exhibition -- vol. 17

2007.8.2(木) - 8.14(火)
Photo Gallery International

藪本 絹美

肌理

P.G.I. 10 Days Exhibition -- vol. 17

2007.8.2(木) - 8.14(火)
Photo Gallery International

  • ©Kinumi Yabumoto

P.G.I. 10 Days Exhibition と題するこのシリーズでは、若手や新人、中堅の写真家、あるいはポートフォリオ作品などを紹介する企画展で、テーマのみならず表現方法や展示方法など個性的な作品を発表するものです。

 

肌理(きめ)という言葉には、二重の意味がある。

「肌の表面」・「肌を構成しているもの」
何を主体にどこから見るかによってものの見え方は違ってくる。
一つ一つの個体は独立しながら、他と繋がり、また他を構成する一部にもなっているからだ。
「壁やコンクリートに染み付いた物質の気配や表面の粒子のざらつきが、私の中に潜んでいた『肌理』という言葉と交差した。」と言う作者は、写真を撮ることで、自己と他者との関わりや、現在と過去の間にある距離や時間を認識したいと語っている。

 

モノクロームプリント作品、30余点を展示。

肌 理 – The surface of material world –

 

今回、「肌理」-The surface of material world – と題したものは、主に2004年から2007年にかけて撮影をしたもので、当時は「肌理」と「物質的恍惚」というタイトルで別々のものと捉えていたものを1度1つにまとめその中から再構成したものです。人工物と自然物、動物的生命とがそれぞれ単独に存在しているのではなくそのどれもが「肌理」を持ち風景の中に同時に混在しています。

 

高校の生物学で知った「肌理」という言葉は妙な違和感を持って私の中にあり続けました。感光したフィルムや印画紙にできている眼に見えない画像のように、 潜像が現像処理によって姿を現すように私の中に隠れていた「肌理」という言葉が写真という装置によって再び眼の前に現れて来たのです。

 

また、「物質的恍惚」の中で著者ル・クレジオは「物質的恍惚」とは物質文明がもたらすさまざまな陶酔をさすものではなく動物的生命と人間的時間をも包容して尚も永遠に無時間的に存在する物質に対する恍惚を述べたものだと言っています。

 

私は今写真を撮ることであいまいにではなくシャープな画像を通じて見えてくるものがあるのではないかと思っています。

 

2007年5月18日

藪本 絹美

藪本 絹美(やぶもと  きぬみ)

1983年 京都府に生まれる
2006年 大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業
現在、京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術表現専攻在籍

写真展

2006年        個展「肌理」prinz(京都)
            グループ展「2005年度ヤングポートフォリオ展」清里フォトアートミュージアム(山梨)
            グループ展「東川町国際写真フェスティバルインディペンデンス展」東川町文化ギャラリ ー(北海道)
2007年        グループ展「flamingo」ギャラリーマロニエ(京都)
コレクション 清里フォトアートミュージアム