原 直久

欧州紀行

2003.10.1(水) - 10.31(金)
Photo Gallery International

原 直久

欧州紀行

2003.10.1(水) - 10.31(金)
Photo Gallery International

  • ©Naohisa Hara

原直久氏は1970年代から「フランス」や「イタリア山岳丘上都市」、「スペイン」など、ヨーロッパの古い街並みやそれをとりまく風景をとらえた数多くの写真作品を発表しています。歴史的な視点と美的な感性により撮影されたヨーロッパの街並みは、大型カメラと巧みなプリント技術によって、なお一層完成された写真作品に作り上げられています。1974年パリとの出会いは、「ヨーロッパの都市と自然との関わり」という大きなテーマの始まりとなって、幾たびも作者をヨーロッパへと導きました。およそ三十年に及んだ欧州紀行の中で、目的地に向かう途中で思いがけない風景に出会ったり、目指す町が初めて見えた時に思わず車を止めて撮影したシーンの数々もまた、作者の「心に残る風景」でした。

 

「パリのような大都市は、歴史の上に築かれた都市の美とその内に秘められたものがあり、それは饐えたワインが染み込んだ壁のように街の体臭を濃厚に発散し ているようなものであった。イタリア山岳丘上都市は、山の頂に凜として存在を主張する中世都市が自然と人間と深い関わりをもっている。周囲の厳しさの中に悠然と建ち、幾重にも積み重ねられた石には風雨の跡が染み込み、えぐられて朽ちながらも、その幻想都市は正に自然そのものとして在った。フランスの田舎の風景やスペインの赤い大地という自然もまた、これらの都市と同じ様に私の眼前に広がっていた。こうした都市や自然と対峙した時の感動を、いかに描き留めるかが技術的な、また精神的な課題であった。8X10インチのピントグラス越しに逆さまの風景を凝視し、シャッターを切る度に、この風景を、こうして写し取る方法が最善であることを確信し続けてきた。」と作者は振り返り、語っています。

 

今回の作品展では、原直久氏のヨーロッパの出発点と言えるパリとその近郊、スペイン、イタリア山岳丘上都市などに向かう途中で出会った「心に残る風景」を集めて、ヨーロッパの都市と自然との関わりを改めて振り返るものです。
モノクローム(ゼラチンシルバープリント)40余点を展示します。

原 直久(はら なおひさ)
1946年千葉県松戸市生まれ。1969年日本大学芸術学部写真学科卒業。1971年日本大学芸術研究所修了。1976年〜77年文化庁派遣芸術家在外研修員としてフランス、ドイツで研修。1984年〜85年日本大学長期海外研究員としてパリを拠点に研究および制作活動を行う。現在、日本大学芸術学部写真学科教授。
「蜃気楼」「PARIS」「イタリア山岳丘上都市」「パリとイル・ド・フランス」「ヨーロッパ:プラチナプリント・コレクション」「ヴェネツィア」「時の遺産」など、個展多数。写真集「時の遺産」