中根 静男

サブソート

P.G.I. 10 Days Exhibition -- vol. 4

2003.8.19(火) - 8.30(土)
Photo Gallery International

中根 静男

サブソート

P.G.I. 10 Days Exhibition -- vol. 4

2003.8.19(火) - 8.30(土)
Photo Gallery International

  • ©Shizuo Nakane

P.G.I. 10 Days Exhibitionと題するこのシリーズでは、こ れまでと異なる選考基準で、若手や新人、中堅作家、あるいはポートフォリオ作品を短期間に紹介する企画展です。本展はその皮切りとして、7、8月の2ヶ月にわたり4人の中堅作家を取り上げて、テーマのみならず表現方法や展示方法など個性的な作品を発表するものです。

 

 

「サブソート」

 

6年ほど前、知人から譲って貰った古いカメラ(イコンタ)を手に東京中を歩きまわった。

20年近くも住み、東京以外には住めないなどとうそぶきながら、これほど歩いたことはなかった。

 

一人で長時間歩いているといつも思い出すことがある。

 

小学校の低学年の頃、ある冬のことだった。
予定よりも早い帰宅だったのか、家には誰もいなかった。
大家族で暮らしていた僕には珍しいことだった。
その日学校で教わった『紙飛行機』を折ろうと思うのだが、なかなかうまく折れない。

何度もくり返しやっとのことで折りかたを思いだすと、丁寧にそれを完成させた。
冬の日の入りは驚くほど早い。
寒さでふと気づくと、まわりはとっぷりと日が暮れていた。
さっきまではっきりと見えていた手元が薄ぼんやりとしてきた。
外の闇が知らぬ間に『僕』の内にまで染み込んできたようだ。
不安と恐怖で目をつむり、僕はそこに俯せた。
ますます日は暮れて行くが家人の帰る気配はない。
静かで恐ろしい時間は止まったように動かない。

どうしてこれらの写真を撮ったのかうまく説明できないが、
言葉では表せない「サブソート」(うっすらとした思いや心の底にある思い)が

この古いカメラのレンズを通して、蘇ってきたのだろうか。

 

2003年8月  中根静男

中根静男(なかね しずお)
茨城県牛久市出身。1981年 流通経済大学経営学部経営学科卒業。1982年 Persons School of Designで写真を学ぶ。1997年 コダックフォトサロン(東京・銀座)にて個展。現在フリーランス