濱田祐史

C/M/Y

2015.8.18(火) − 10.17(土)
Photo Gallery International

濱田祐史

C/M/Y

2015.8.18(火) − 10.17(土)
Photo Gallery International

  • ©Yuji Hamada

  • ©Yuji Hamada

海外でも注目を浴びる新進写真家の濱田祐史の新作展を開催いたします。

「『見る』とはどういうことなのか、『見えない』とはどういうことなのか?」という謎を視覚表現である写真を通して探求することが濱田にとって大きなテーマとなっています。

 

ポラロイドの感熱紙は水に長時間つけることで写真の膜面が剥がれる特徴があります。
それらをシアン、マゼンタ、イエローの三色の層に分け、すくい上げた膜を水彩紙の上に置いていきます。一枚の写真だけでなく、何枚もの違う写真、そして違う色をひとつの水彩紙に乗せていくことで制作されたこれらの作品は、よく見ると、薄い膜がよじれていたり、破れていたり、厚い層になっていることがわかります。また、濱田祐史自身の撮影した写真だけでなく、ポストカードやインターネット上のイメージも混ざり合いながら、イメージの層「画層」を作り上げています。

 

朝起きてから、眠りにつくまで、私たちは浴びるように膨大な数の画像を目にしています。広告やニュースだけでなく、Facebookなどにアップされる誰かの写真も、目に留まる暇なくタイムラインを流れては新しいものが現れます。「私たちは一日に数えきれないほどの写真を目にしている」という言葉自体の持つ意味さえも、テレビ、新聞、雑誌、車内広告、だった少し前から比べると、大きく意味を変えました。

 

それらの多くはコミュニケーションを目的としていながら、しかし全ては注視されるわけでもなく、私たちは見逃したり、流しながら暮らしています。 「そのような時間の中で不感症のように画像をあびていて、ふとゲシュタルト崩壊のように『画像ってなんだろう?』『自分が制作している写真は何なのだろう?』という疑問と好奇心がわいてきた」ことがこの作品を作るきっかけとなったと作者は語っています。
イメージと色が重なりあうことで、濱田祐史が写すスナップショットも、ポストカードの雄大な景色も、インターネット上の画像が、新たな色とかたちに生まれ変わります。

 

濱田祐史は暗室の中での行程を非常に重視し、撮影だけでなくそうした作業の中からアイデアを得ることも多々あると言っています。撮影から現像、プリントという過程の果てにある印画紙上の画像「写真」と、パソコンやタブレットの画面に見る「画像」、そのどちらもが「写真」と呼ばれるようになった現代、 「写真とは何か」というあまりにも多角的・重層的、ともすれば曖昧な問いに、答えを求めるというよりは、色とかたち、そして写真の在り方に挑戦するようにして制作されたシリーズです。

濱田 祐史 (はまだ ゆうじ)
1979年大阪府生まれ。2003年日本大学芸術学部写真学科卒業。出版社勤務後、2006年よりフリーランス。
イギリス滞在時に写真賞“Magenta Foundation, Flash Forward 2011 Emerging Photographer”においてイギリスの新進写真家として受賞、その後、同賞世界巡回展に選抜され参加。
昨年はスイスヴェヴェイでのフォトフェスティバルに参加、また写真集「photograph」がAperture / Paris Photo First PhotoBook Award 2014にてファイナリストに残るなど、国内外で活躍している。
C/M/Yはイギリスの『British Journal of Photography』にて取り上げられた。

現在、東京を拠点に制作、活動。

【今後の予定】
2015年 9月“branch” Japan and Switzerland exchange project
(Sion and Tokyo/Switzerland and Japan)
2015年 10月 “Primal Mountain” (Aix province photo festival/France)
2015年 7月“photograph” (Conde nast Gallery/New York/USA)
2015年 7月“C/M/Y” (Laurence Miller Gallery/New York/USA)