ブックマットのススメ

 

保存・展示

出来上がったマットにピュアガードなどの合紙を挿み、できればポリエチレン・バッグに入れてストレッジ・ボックス (無酸性ダンボール製のプリント保存箱)やミュージアム・ケースなどの箱に入れて保管します。厳重すぎると思われるかもしれませんが、服をたくさん着ているほうが外気の影響を受けにくいのです。

 

環境

保存・展示の環境は、次の点に注意して下さい。

*高温・多湿は避ける

理想的には 20℃以下、湿度 30〜50%。 湿度が 60% 以上あると、たとえ温度が低くてもカビが生えてくる可能性があります。 逆に湿度が極端に低すぎると、乳剤のひび割れの原因になります。
乾燥剤を入れるのもいいですが、シリカゲルなどの乾燥剤は乾燥させすぎることがあるので注意してください。レフレムバックというガス遮断性能の高い包材に、アートソーブやドライウェットなど50%に調整された調湿剤を使って保管すると湿度の心配がなくなります。調湿剤は直接作品に触れないようにしてください。 

*酸性の環境

酸性紙を使った包材は避けるようにしてください。

*温度や湿度の急激な変化

紙は温度や湿度の変化によって伸縮します。 急激な変化はプリントを疲労させてしまいます。 

*保存に有害なガス

自動車などの排気ガス、家具の塗料や、木、合板の接着剤等から出るガスが、写真に有害であることはよく知られています。衣類の防虫剤もよくないようです。 

*光

特に紫外線は写真に有害なので、日光や蛍光が当たらないようにします。白黒写真よりもカラー写真のほうが光による影響を多く受けます。 

 

環境の整った専用の保存室があれば理想的なのですが、これは余程恵まれた環境でないと難しいでしょう。しかし押入れに入れてしまうのは、湿度やガス等の点で問題があります。できるだけ台所や風呂場などの水場から離れた部屋の、直射日光のあたらない棚に置くようにしたいものです。

 

 額装・展示

プリントが外気にさらされていると傷んでしまうので、作品を展示する際にはガラスやアクリルの入ったフレームに入れるようにします。普通のものと比べると高価ですが、反射を抑えるコーティングを施し、有害な紫外線をカットする低反射アクリルもあります。

フレームの裏板は合板やチップボードを使ったものが多くあります。これは充填されている接着剤が写真に影響を与えます。コーティングされているものを使うか、バリヤー材として、なにか挟むようにして下さい。

額装の際に注意することはガラスの汚れをしっかり落とし、そしてプリントに埃が残らないようにすることです。 長期間入れておくとこれらの汚れや埃からカビが生えてくる可能性があります。

どんなに注意しても、展示することはプリントにとっては負荷となります。あまり長期間飾ったままにしないで、たまに作品を入れ替えるようにしたほうがいいでしょう。

フレームは保存箱ではありません。あまり長い間入れたままにしておくのはできるだけ避けた方がいいでしょう。 フレームに入れたまましまい込んで為に、プリントにカビが生えてしまったというトラブルは非常に多いのです。

 

ブックマットのことから簡単に保存の注意点まで述べてきましたが、写真はあくまで見て楽しむものです。美術館ならまだしも、個人で楽しむのに過度に神経質になって、しまいこんでばかりいては本末転倒としか言いようがありません。

一般のコレクターや愛好家が個人で楽しむ分には、これらの知識をふまえて各自で出来る範囲で気をつければ良いでしょう。 基本的なポイントを押さえていれば、適切な処理をされたプリントはそう簡単に変退色することは無いはずです。

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