新井卓の初となる文と写真エッセイ。
最古の実用写真術、銀板写真とともに旅に出る。福島の渚へ、遠野の田園へ、核実験場の砂漠へ、あるいは己の過去、夢と現の境へ――。詩人になりたかった美術家は、絶望と混迷の時代にあってもまた昇る陽を待ちながら、ひとり言葉とイメージを探す。世界と自身を見つめ、未来の先触れに手を伸ばす。
おまえはだれか、と問いかけるな。
風景と来歴のあわい、傷のほとりを流されてゆくものに。
痛みこそ、自由への道行きか。
民俗学者・赤坂憲雄
写真の古典技法ダゲレオタイプで現在を撮る彼は何をしようとしているのか。
詩人をめざした写真家による豊穣なるエッセイ。そこに200年後の写真がある。
写真家・石内都
岩波書店より
作家サイン入り
装丁・口絵デザイン:大西正一
出版:岩波書店