風の旅人Vol.27 「WANDERING LIFE」風の旅人Vol.27 「WANDERING LIFE」風の旅人Vol.27 「WANDERING LIFE」

風の旅人Vol.27 「WANDERING LIFE」

1,257円

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商品説明

私たちの生きる宇宙は一定の状態に留まることなく混沌と変化し続けますから、人間にかぎらず、どんな生物でも、常に新しい状況や問題に当面することになります。
 そうした場合、新たな対応方法がすぐに得られるわけではなく、いろいろ試みては失敗を繰り返し、そのうち、偶然成功した反応が次第に確立され、新たに秩序的なスタイルが整えられていく。生命は、そうした”さ迷い”の繰り返しによって、現在のような多様で安定した状態を作りあげてきたように思われます。
 すなわち、生命の営みは、劣っていた状態から少しずつ発展してきたというわけではなく、特定の人間が絶対的に正しいと主張する原理に導かれた筈もなく、時とともに刻々と変化していく状況に対して様々な試行錯誤を繰り返しながら、様々な関係に基づく様々な存在の可能性を得て、整えられてきたのでしょう。
 とはいえ、既に確立している状態に上手く適応しているものにとって、その安定を揺さぶる動きは不吉なものに感じられ、その不安に耐え難い場合は、逃げ出したり、それを排除することが多くあります。
 とりわけ人間は、自らの安心と安全と安楽を脅かす可能性がある新たな揺らぎに対して、極端なほど排他的な思考と行動に走ることが多く、それが過激になり、集団化し、様々な失敗を重ねてきました。
 そうした失敗を繰り返さないように、刻々と変化していく状況のなかで、性急にわかりやすい答えを求めるのではなく、不安に心揺らぎながら、それに耐え、様々な可能性を模索していく必要があるでしょう。
 この世の生を受けることは、そのように“さ迷い”を続けることであり、それは、新しい関係に基づく新しい存在の可能性を求めて生を更新し続けることなのかもしれません。
雑誌『風の旅人』編集長 佐伯 剛

【 表紙・裏表紙 】
絵/大竹伸朗
【 写真 】
GROUND ZERO 1[9.11事件以降]
photos / ジョエル・マイヤーウィッツ
GROUND ZERO 2[原爆以降]
photos / クリス・スティール=パーキンス
/ Magnum Photos Tokyo
text / 山田美也子
OUTER WORLD[東京・郊外]
photos・text / 内山英明
FLOATING WORLD[極東ホテル]
photos・text / 鷲尾和彦
LOST CHILD[東京迷子]
photos・text / 梁丞佑
【 連載 】
もしアメリカがなかったら、いまは
text / 管啓次郎
アメリカと日本
text / 養老孟司
象をなでるように
text / 田口ランディ
無邪気な善意の恐ろしさ
text / 森達也
祭と暦
text / 前田英樹
夜のなかの生
text / 酒井健
幼虫は未完成か?
text / 日髙敏隆
豊饒なる貧困
photos・text / 長谷川健郎
道なき道
text / 甲野善紀
シラクーザからナポリへ
text / 川田順造
「見えるもの」と「見えないもの」の間
text / 小栗康平
反復される度ごとに、身体のなかで新たに生まれるもの
text / 古谷利裕
緊密なコミュニケーション空間
text / 保坂和志
信じることと生きること
text / 茂木健一郎
【 Endless World − 循環する世界のなかで 】
極北の原野と人間の道
photos・text / 八木清
はじまりの海、還りついた海
photos・text / 小池英文
神聖なる『死』を見つめて
photos・text / 船尾修


出版:ユーラシア旅行社, 2007/8年

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