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清水裕貴:岸

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商品説明

清水裕貴待望の写真集2023年12月20日発売
この写真集は、水辺の旅の写真、潮間帯に生きる架空の生物の話、水中から攫いにくる何者かとの会話、海水や黴で腐蝕させた写真で構成されている。
水は人々の生活に不可欠なものだが、同時に大きな災いをもたらす存在でもある。人は時に川を神に見立てて、海に怪物の影を見つけ、湖の水面や白波の向こうに亡くなった人を幻視した。
私は十年に渡り水辺を旅して、身投げした姫が龍神になった川、生贄が捧げられた池、毒を浄化する湖、雨乞いのお祭り、水の喜びを歌う人たち、オアシスの街の跡、古代湖が干上がった砂漠などを撮影した。その傍ら、水神にまつわる伝承や、水害などの記録を集め、フィクションの世界を立ち上げて言葉を綴った。
それは風景の多層性を表現する試みである。
風景と写真は常に一致しない。カメラによって二次元に再構築された風景は、現実の視界とは大きく異なる光の絵だ。撮影者の目だけではなく、レンズの身体性、黴や埃の足跡、風と雨、水蒸気の振る舞いが複雑に絡み合う。撮影者は恣意的な操作と外界の干渉の間で揺れ動きながら、今ここに立っていることを保存しようとする。
しかし写真が描き出すのは、思いがけない他者の気配だ。
数秒前、数十年前、数百年前にいたかもしれない何者かの気配が、誰もいない草むらに生々しく立ち上がる。
私はそこにいる何者かの気配をよりはっきりと掴むために、撮影した場所を何度も歩き直し、言葉による風景の再構築を行った。言葉は私の心象を表現したものではなく、被写体の直接的な説明でもなく、風景を語り直したものだ。
その言葉を添えることで、過去の一瞬を切り取った写真へ、撮影後の時間軸からも干渉を加える。
もう一つ撮影後の時間軸からの干渉として、ネガフィルムを黴や海水で腐敗させた写真もシークエンスに加えている。
異なる階層から語られた風景は波のようにぶつかり合い、そのはざまに新しく風景が立ち上がる。
風景に蓄積された過去、他者の声に耳を澄ます装置としての写真の可能性を探る。
新しい風景の表現方法。

清水裕貴

Book Design:上西祐理
Size:H200mm × W300mm
Page:136p + 別丁16p
Binding:Softcover
作家サイン入り

清水裕貴
第5回1_WALLグランプリ(2011年)、三木淳賞(2016年)を受賞、「よみがえりの川」(スタジオ35分、A’holic2023年)「微睡み硝子」(PGI、2022年)[Birthday beach」(nap gallery 2019年)、「Empty park」(PGI、2019年)、「既知の海」(千葉市美術館、2021年)、「百年硝子の海」(千葉市民ギャラリーいなげ、2021年)など個展多数開催、「コールドスリープ」にて千の葉の芸術祭(2021)へ参加、小説家としては2018年新潮社R-18文学大賞を受賞、2022年集英社より連続短編集「花盛りの椅子」を刊行、今後の活躍が期待される気鋭のアーティストです。


出版:赤々社

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