大西 みつぐ

ニューコースト

2016.11.2(水) − 12.22(木)
PGI

大西 みつぐ

ニューコースト

2016.11.2(水) − 12.22(木)
PGI

  • ©Mitsugu Ohnishi

PGIで初となる大西みつぐ作品展を開催いたします。

 

大西みつぐは1952年生まれ、1974年に東京綜合写真専門学校を卒業。同校にて専任講師を務めながら写真家としてのキャリアをスタートしました。デビュー作となる「WONDER LAND 1980-1989」から現在に至るまで一貫して、生まれ育った東京の下町と湾岸エリア、そしてそこに集う人間の所作を考察と撮影の対象として、作品を作り続けています。自身の視線を「眺める」視線と言い、被写体との独特の距離感には、目の前の光景に表象される時代への、作者自身の態度が垣間見ることができます。

 

今回PGIで展示する「NEWCOAST」シリーズは、大西が生活環境を深川から東京湾岸(江戸川区臨海町)へと移した1980年代後半、ちょうどバブルが膨れ上がり、首都圏のあちこちで再開発が始まった時期に撮影されました。
急激に自身を取り巻く環境を変えている「バブル経済」の只中で、実態がなく目に見えない実感を、印画紙の上に表した作品です。
ボート遊び、芝生の上で日焼けする人、行楽施設に大挙する人々、、、。
「アメリカ西海岸あたりの土産物屋で売っていそうな安っぽいイラストポスターの絵柄」のような風景の中にいる人々は、バブルの恩恵に熱狂しているというよりは、戸惑いながら居場所を探しているかのようです。

 

6×7の中判フィルムによるスナップショットには、目の前の光景に対して一定の距離を置いて対峙する作者の視線が見えてきます。それは<わからない><見えない>変化する風景にカメラを向け、写真で触れようとする写真家の戸惑いや苛立ち、見えないものを写したいという渇望を表しています。現在から眺めた時、これらの写真は、ある時代・場所の現象の記録として重要であるだけでなく、日本の写真史の1ページとしても非常に重要な作品です。大西の被写体への距離感には、ルイス・ボルツやロバート・アダムスといったアメリカのニュー・トポグラフィクスと呼ばれる写真家達が、1970年代後半に当時の若い日本の写真家たちにもたらした影響も見受けられます。
個人のまなざしと客観性を両立させようとするこうした表現は、その後の日本の写真に、今に至るまで大きく影響を及ぼしていることも、ひとつ重要な点と言えます。

 

それから30年、東京は、東日本大震災を経験し、2020年には東京オリンピックを迎えようとしています。

「久しぶりに夏の人工なぎさを歩いてみた。とりとめのなさは以前と変わらない。やってくる人々もこの時代の申し子のように見える。おまけに『東京湾にカジノを!』という儚い夢もまた膨らんでいる。そうして更新されていく日常とさらに向き合っていくことに気持ちの揺るぎはない。しかし東京湾岸部も東日本大震災以降、何らかの構造変化を強いられているはずだ。その深層の環境が見えてこないことに少し苛立ちを覚える」(大西みつぐ)

 

今回の展示では、1980年代後半に撮影されたNEWCOASTシリーズ、昨年夏から新たに撮影した「現在のNEWCOAST」と合わせてご覧いただきます。

トーク「東京、水辺の叙景」
大西みつぐ(写真家)×佐藤洋一(早稲田大学社会科学総合学術院教授)
2016年11月26日(土) 午後4時〜

大西みつぐ作品展「NEWCOAST」にあわせ、都市と映像の研究者である佐藤洋一氏をお招きし、作家とトークを行います。作品をさらに深く楽しんでいただける機会となります。

 

日時 2016年 11月26日 (土)午後4時〜

会場 PGI
定員 30 名 
参加費 500 円(当日お支払い下さい)

 

お申し込み方法: 電子メール、またはファックスにて下記申込先までご連絡下さい。

定員に達し次第受付終了いたします。

 

※お電話でのお申し込みは受け付けておりませんのでご了承下さい。
電子メールでお申し込みの方は件名に「大西みつぐトーク」と明記下さい。

 

申込先: FAX. 03-5114-7936 
MAIL. info@pgi.ac

お名前、電話番号、ファックスの場合は返信先FAX番号を明記の上送信して下さい。

【申し込みのご注意】
■ 本文にはお名前、ご連絡先を明記下さい。
■ 席に限りがございますので、キャンセルの場合にはお早めにご連絡頂けますようお願い致します。 
■ お申し込みいただきましたら折り返し電子メール、またはFAXでご連絡差し上げます。

個人情報の取り扱いにつきましては下記をご参照下さい。

個人情報保護方針

 

大西みつぐ(おおにしみつぐ)
1952年東京生まれ。
1974年東京綜合写真専門学校を卒業し、同校にて専任講師を務めながら写真家としてのキャリアをスタート。
1985年「河口の町」で第22回太陽賞、1993年「遠い夏」ほかにより第18回木村伊兵衛賞を受賞。
2006年には写真展「Tokyo East Perspective墨東写真/すみだ職人列伝」を企画、また近年は東京・深川を舞台にした映画「小名木川物語」の監督を務めるなど幅広く活動している。
個展、出版、コレクション多数。