三好 耕三

SABI

2013.10.8(火) - 11.16(土)
Photo Gallery International

三好 耕三

SABI

2013.10.8(火) - 11.16(土)
Photo Gallery International

  • ©Kozo Miyoshi

自動車産業が盛んなミシガン州のワイアンドットはメタルトイでも有名な町です。
1920年代から1950年代まで“Wyandotte Toys”として名を馳せましたが、その後、買収によりミシガンを去り、“Wyandotte Toys”は消滅します。数ある“Wyandotte Toys”の中でも、スクラップされた自動車のメタルを使ったおもちゃの自動車は現在でも多くの愛好家がいるそうです。
半世紀以上の時を経て、頑丈なメタル部分であるボディだけを残して朽ち、元々が車の形をしていることさえわからないようなものまで、何十年と集めてきたこれらの“元車”である鉄のプレートが今作のモチーフです。

 

“さて、今回の錆びたおもちゃの断片だが、なんていうかそこには記憶や哀愁みたいなものが佇んでいるんじゃないかと思う。そのザラっとした表面はまるで老齢のブルースシンガーのように渋いテクスチャーに覆われて、これまでいろいろな人の手に渡り、やがていつのまにか放置され時が経つとともに少しづつ朽ちていったのだろう。そんな役割を終えてしまった鉄の塊が、なんの因果か東京へと持ち込まれ、こうして大判のカメラで撮られたことによって、独特の風合いを持つ肌合いが、なんとも絶妙な銀塩の質感で印画紙に焼き付けられたというわけだ。”
(河内タカ / P.G.I.レターより抜粋)

 

ベストなタイミングで最高の光と場所で撮影することは、三好耕三の最も大切にしている点でもあります。“ずっと暖めてきたことなんだけれど、16×20インチのカメラを使用する環境が整って初めて実際に撮ることができたんだ” と語る三好の、美しいプリントに仕上げられた写真は、まるでそっと持ち帰って大事にとっておいた「旅先での出会い」であり、本作「SABI」は従来のスタイルである「旅/写真」の延長にあると言えます。是非ご高覧下さい。

 

本展ではゼラチンシルバープリント20余点を展示致します。