川田喜久治

遠い場所の記憶:メモワール1951-1966

2008.11.17(月) - 2009.1.30(金)
Photo Gallery International

川田喜久治

遠い場所の記憶:メモワール1951-1966

2008.11.17(月) - 2009.1.30(金)
Photo Gallery International

  • ©Kikuji Kawada

50年以上にわたり写真を撮り続け、多彩な才能を繰り広げる川田氏の作品は、日本国内はもとより海外でも常に注目されてきました。2006年に発表された近作「見えない都市」では、2001年から2006年までに撮影された、崩れながら再生するさまざまな都市での想像的なドキュメントをまとめて います。このシリーズは、「ロス・カプリチョス」「ラスト・コスモロジー」「カー・マニアック」の3部作をまとめた「世界劇場」から続いています。さらに、時代を遡れば、広く世に知られる「地図」や「聖なる世界」から、氏の写真世界は脈々と繋がっていることを知ることができます。
 
多くの写真家に写真を撮るきっかけとなる出来事があるように、川田氏の写真のはじまりはどこにあったのでしょうか。「初めての写真発表は 1951年と記憶する」と語る氏は、「僕の写真のはじまり『初期のスタイル= Beginning Style』は、この15年間(1951-1966)の作品の中にあると思いつつ、気がつくまでに半世紀もかかってしまったのは、自作を振り返らないというタブーを記憶の女神と交わしていたからなのです」と述べています。高校卒業の時に写真専門誌の「月例」に投稿した写真が選者の目にとまり、特選となったという偶然が、氏を写真の世界へと導きました。その後、老舗の出版社の週刊誌の創刊時よりグラビア等の撮影を担当した後にフリーの写真家になった氏は、自身の世界観を写真で現してきました。
 
「初めての作品のなかにしばしば終わりのスタイルが潜んでいる」という女神ムネモシュネの囁きと、「わたしたちは探求をやめてはいけないのだ。 その探求の果てにもとの場所にもどり、初めてその地を理解するのだ」という声に後押しされて、「もとに戻る」のも「その場所を理解する」ことも関心のなかった氏ですが、写真に封じ込まれた「遠い場所の記憶」から、テーマの核心を探り当てていきます。
 
「ちょうど、双眼鏡をさかさまにして覗いたときのように、写真は遠近法を活用した『押絵』と『だまし絵』のなかで、いつのまにかライフサイズの生き物となっているのには、驚きを隠せません。過去の記憶だけでなく、未来への記憶もそこに潜んでいることを知らせてきます。ここで未視感と既視感も体験できるのです。この累々たる写真がリアルなイメージをなげかけて来るのはそのようなときなのです。時代も場所も超えて。」と氏は語ります。
 
本展では、1951-1966年の、年代的には写真集「地図」をはさんだ15年間に撮影された川田喜久治氏の作品の中から、あらたにプリントさ れたモノクローム作品60余点を展示いたします。「写真のはじまり」の中に、過去、現在、未来と三つの記憶となる氏の写真世界が広がります。

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川田喜久治 (かわだ きくじ)
1933年茨城県に生まれる。 1955年立教大学経済学部卒業。新潮社に入社。『週刊新潮』の創刊(1956年)より、グラビア等の撮影を担当。1959年よりフリーランス。「VIVO」設立同人(1959〜61年)。主な個展に「ラスト・コスモロジー」タワー・ギャラリー(横浜 1995年)、「ゼノン ラスト・コスモロジー」フォト・ギャラリー・インターナショナル [以下P.G.I.](東京 1996年)、「カー・マニアック」P.G.I.(東京 1998年)、「ユリイカ 全都市」P.G.I.(東京 2001年)、「川田喜久治展 世界劇場」東京都写真美術館(東京 2003年)、「地図」P.G.I. (東京 2004年12月-2005年2月)、「川田喜久治写真展 Eureka 全都市 Multigraph」東京工芸大学写大ギャラリー(東京 2005年)、「見えない都市」P.G.I. (東京 2006年)、「川田喜久治展 ATLAS 1998-2006 全都市」エプサイト(東京 2006年12月—2007年1月)がある。