圓井 義典

天象

アパリシオン

2020.10.15(木) - 12.5(土)
PGI

圓井 義典

天象

アパリシオン

2020.10.15(木) - 12.5(土)
PGI

  • ©Yoshinori Marui

  • ©Yoshinori Marui

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PGIでは10月15日より、圓井義典のPGIでは4年ぶり4回目となる個展を開催いたします。本展では新作となるシリーズ「天象(アパリシオン)」から約20点を展示いたします。

 

圓井義典は東京芸術大学美術学部デザイン科在学中より写真作品の制作を始めました。

初期作、「地図」(2003年)や「海岸線を歩く」(2008年)では、知覚できる世界についての新しい発見、つまり知覚世界についてより一層想像力を膨らませるきっかけを、眼前の事物の細部描写に見出していました。

それまでの旅で見た光を主題とした「光をあつめる」(2011年)の頃から、写真術と事物とのかかわりそのものを考えることが、より直接的に知覚できる世界について想像を膨らませるきっかけになる、と考えるようになります。

そうやって考えてきた一つの結果として前作「点−閃光」(2016年)があり、そこから派生した別の結果が今回の「天象(アパリシオン)」です。

 

「天象(アパリシオン)」は、元々は天体の現象を表す言葉です。

ドイツの哲学者テオドール・W・アドルノは「現象としての芸術作品にもっとも近いものに、天における星の出現を意味する天象がある。」と語っています。

本作で圓井はスナップとフォトグラムの二つの手法をミックスして用いています。

事物があり、そこに写真で関わるという点で、スナップショットとフォトグラムによって得られる画像は共通しています。圓井は「画像が生まれる様は、あたかも網膜上に事物の姿が結像されるようでもあり、ひいては、私たちの五感による知覚の様相そのものともよく似ている」と語っています。

事物と作者の関わりの結果としての画像の羅列、一般的な意味に交換できないスナップショットの連なりに、見ている私たちは知らず識らずそこから一つの意味を見出そうとするはずです。

 

本作は、意味や物語の対極に写真を置くことで、私たちが生まれながらにして持ち合わせている、意味を見出そうとする性質そのものに注目し、そのことを通して、その限界の可能性とその先にある可能性を考える試みです。

 

 

 現象としての芸術作品にもっとも近いものに、天における星の出現を意味する天象アパリシオンがある。芸術作品と天象アパリシオンとの間には、人間の頭上に出現するものであり、人間の意図を離れ、事物の世界を離れたものであるという一致点が見られる。

テオドール・W・アドルノ『美の理論』

 

 人里離れた山頂で、手もとの明かりを消し、星々の光を一面にたたえた夜空に目をやる。そして、しばらくして、北極星はどこか、北斗七星はどこかと探してみる。

 ところが、夜空に勢揃いしているそれらの光は、私たちとここ・今に偶然に出会っているだけであって、それらの中には、本当はとうの昔に消滅してしまった星の残光も少なからず含まれているだろうし、反対に、私たちの目にはただ漆黒の闇にしか見えない場所にも、ここ・今にたどり着かなかった無数の光があるはずなのである。

 

 この星々の光を一面にたたえた夜空の姿と、光の粒を一面にたたえた写真の姿は、何だかとても似ている。ふと、そんなことを思った。

 

 星が生まれ、漆黒の闇の中に突如新しい光が出現する現象、天象アパリシオン。

 それは、ここ・今の夜空がどうしてそれとしてあるのかを、そして、見えない無数の光の存在を、夜空を見上げる者にだけ告げ知らせる。

 写真にも、本当はそんな特別な瞬間があるのではないかと、時々思う。

 

2020年9月

圓井義典

 

 

【新刊写真集】「天象(アパリシオン)

著者・発行者:圓井義典

2020年10月刊行
デザイン:中 新(Lallasoo Poopo Lab.)
サイン入
46ページ

18.2cm × 22.7cm

お求めはOnline Shop または店頭にて

 

圓井 義典(まるい  よしのり)

1973年大阪生まれ。1996年東京芸術大学美術学部デザイン科卒業。1997年東京綜合写真専門学校研究科修了。2020年より東京工芸大学芸術学部写真学科教授。

主な個展に「失踪」Gallery Floor 2(東京 1996年)、「Sight」かねこ・あーとギャラリー(東京 1998年)、 「新作展」ギャラリーQS(東京1999年)、「新作展」exhibit LIVE(東京 2002年)、「新作展」現代HEIGHTS Gallery Den(東京 2002年)、「地図」exhibit LIVE (東京 2003年)、「沖縄」exhibit Live & Moris (東京 2005年)、「海岸線を歩く—喜屋武から摩文仁まで」フォト・ギャラリー・インターナショナル(2008年)、「光をあつめる」フォト・ギャラリー・インターナショナル(2011年)、「点—閃光」PGI(2016年)などがある。

「沖縄・プリズム 1872-2008」(東京国立近代美術館 2008年)など多数のグループ展にも出品。

 

 

PGI Exhibitions

2016.6.6 8.10 点-閃光
2011.1.11 2.26 光をあつめる
2008.2.15 3.19 海岸線を歩く− 喜屋武から摩文仁まで