エメット・ゴーウィン

チェコ共和国 1992-1994

2005.6.3(金) - 6.30(木)
Photo Gallery International

エメット・ゴーウィン

チェコ共和国 1992-1994

2005.6.3(金) - 6.30(木)
Photo Gallery International

  • ©Emmet Gowin

アメリカを代表する写真家エメット・ゴーウィンは、家族や妻イーディスを撮影した初期の作品や、アメリカの大地を空から撮影した作品で知られています。

 

1992年の春に初めてチェコ共和国を訪れたエメット・ゴーウィンは、空から大地を撮影しました。そこに広がるのは、青灰色の煙をたなびかせる発電所や、石炭の露天掘り鉱山、小さな村が潰されて建てられた高層アパートなど、そこに住む人々の不安をよそに大きく姿を変えてい くチェコの大地でした。しかし同時に、その光景は息をのむほど美しいものでした。「その日は今までにないほどの、とても美しい春の日でした。暗く、そして 光り輝く、風の強い三月の空が、花をつけた桜の若木と巨大な冷却タワーとの間にコントラストを付けていました。厚い雲を鋭くさすような一筋の光や、一片の 空間が開かれていく様子が、今でも信じがたいほど懐かしく思い出されます。」

 

ゴーウィンがチェコに行くきっかけとなったのは、チェコ生まれのある写真家の「この場所を見るべきです」という、確信に満ちたさりげない一言でした。後になって、本に掲載されて気に入っていた写真が、実は酸性雨のダメージを受けたチェコの衛星写真であることが分かり、次第に気持ちが動いていきました。

 

チェコで撮影した作品は、それまでゴーウィンが捉えてきたアメリカの風景、例えば汚染された農地や核実験場など、と同じように、地球規模で考えると「われわれが自分自身にしてきたこと」であり、ゴーウィンはそれをしっかりと自分自身の目で見て、ありのままの姿を捉えています。これらの作品の中に現れる静謐で美しい映像は、私たちに多くのことを語りかけています。

 

「私はここにいます。私はこんな感じです。」と写真が語ってくれることを望んでいると述べるゴーウィンは、写真を見た人が言葉を返すというような、気持ちの通ったやり取りがうまれてくると考えています。写真は、ゴーウィンが語っているように、豊かな楽しみを私達にもたらしてくれる「贈り物のようでもある」のです。

 

展覧会では、16×20インチにプリントされたモノクローム作品20余点を展示致します。

Emmet Gowin(エメット・ゴーウィン)
1941年バージニア州ダンヴィルに生まれる。1967年ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン卒業。
写真家として作品を制作する一方で、1973年以来プリンストン大学人文科学部の教授として視覚芸術教育に携わる。
近年の個展に「Aerial Photographs 上空からの写真」プリンストン大学美術館(1998年)、「Changing the Earth 変貌する大地」コーコラン・ギャラリー(2002年ワシントンD.C.)がある。日本でこれまでに開かれた大規模な個展として「核時代の風景」在日アメリカ大使館アメリカンセンター(1992年)、「Emmet Gowin: Photographs 1967-2000」日本大学芸術学部芸術資料館(2004年)がある。

 

 

PGI Exhibitions

2005年 「チェコ共和国 1992-1994」
1998年 「Recent Works: Aerial Photographs」
1997年 「写真家の家族」
1993年 「Photographs: 1986−1992」
1993年 「Photographs: 1965−1974」
1989年 「Photographs: 1967−1988」