潮田登久子

BIBLIOTHECA/本の景色

2017.3.8(水) - 4.28(金)
PGI

潮田登久子

BIBLIOTHECA/本の景色

2017.3.8(水) - 4.28(金)
PGI

  • ©Tokyo Ushioda

  • ©Tokyo Ushioda

  • ©Tokyo Ushioda

  • ©Tokyo Ushioda

  • ©Tokyo Ushioda

PGIでは初めてとなる潮田登久子の作品展を開催いたします。

潮田登久子は1940年東京生まれ、桑沢デザイン研究所にて石元泰博氏、大辻清司氏に師事し、1963年に卒業後、同校及び東京造形大学の講師を勤め、1975年頃から写真家としての活動を始めました。

 

今回展示する「BIBLIOTHECA/本の景色」シリーズは、作者が20年以上にわたって撮り続けているシリーズです。 ふと自分の手元にあった本の美しさに、オブジェとして本を撮ってみたいと思ったことが、このシリーズを撮り始めたきっかけでした。

公立図書館や大学図書館、個人の蔵書、出版社の編集室や、師である大辻清司のアトリエなど、様々な場所で本を撮影してきました。「読むためのもの」としての本が写真の主題となりうるのか、自問自答しながらの撮影だったと言います。

写っているのは、江戸時代の帳場で使う帳簿、14世紀頃の祈祷のための本など、古いものから、小学校で使い込まれた辞書、個人宅の本棚の様子など様々で、時には修復の現場なども撮影しています。 代表作「冷蔵庫/ICE BOX」でも見られるように、物そのものを写しながらも、同時に、人が触れ、時間を重ねてきたその物の佇まいを写すのが潮田のスタイルと言えるでしょう。「本しか写っていないのではだめ。」と言う潮田の言葉の通り、何人もの人の手を渡ってきたことで変化した風貌に、時間の堆積がもたらした迫力、所有者の性格を体現した存在感を見ることができます。

撮影は、暗い図書館の中も、光の入るアトリエも自然光のみで行われており、美しいモノクロの階調を生かしたプリントは、潮田が写しだそうとする本の持つ背景をも描き出します。

 

 

様々な時代に多様な運命を辿ってきた「本」に触る楽しみを見つけた私は、例えば、15世紀ヨーロッパの修道士たちが聖務日課に用いた一抱えもある大きな祈禱書が目の前に現れた時、その存在感にただ驚き圧倒されるばかりでした。 羊皮紙に手書きのグレゴリオ聖歌と詩篇が刺青のごとく刻まれていて、美しくも残酷な姿です。 室町時代なのか、あるいは江戸時代のものなのか、黄ばんだ和紙の屛風仕立ての経文の一面に星屑のように穿たれた穴は、昆虫のフルホンシバンムシが来る日も来る日も経文を唱えるように食んでいった証ではないかと思ったりするのです。 生まれて初めて辞書引きを習った小学2年生の使っている国語の教科書には、彼らが身の回りにある「言葉」や「物」たちを手当たり次第に辞書引きし、付箋を貼りつめたものでした。 白菜やブロッコリーのようでもあり、彼らの脳みそのようでもあります。 「本」をオブジェとして写真撮影を試みているうちに、情報の担い手という「本」自体の持っている役割を越えて、新たに「本」そのものの存在が魅力となって浮き上がってきました。

 

潮田登久子

同時開催

Galerie412

2017年3月1日(水) - 3月18日(土)

潮田登久子(うしおだ とくこ)

 

1940年東京生まれ。1963年桑沢デザイン研究所写真学科卒業。1966年から1978年まで桑沢デザイン研究所および東京造形大学講師を務める。1975年頃からフリーランスの写真家としての活動を始める。代表作に様々な家庭の冷蔵庫を撮影した「冷蔵庫/ICE BOX」がある。