伊藤義彦

フロッタージュ ー暗室讃歌ー

2025.3.19(水) - 4.30(水)
PGI

伊藤義彦

フロッタージュ ー暗室讃歌ー

2025.3.19(水) - 4.30(水)
PGI

  • ©Yoshihiko Ito

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  • ©Yoshihiko Ito

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  • ©Yoshihiko Ito

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【お知らせ】

3月29日(土).  14:30ー16:00  の間、都合により閉廊させていただきます。この時間はご入場できませんのでご注意ください。ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願い致します。

 


PGIでは3月19日より、伊藤義彦作品展「フロッタージュ -暗室讃歌-」を開催致します。

 東京綜合写真専門学校を卒業した1970年代後半から作家としてのキャリアをスタートさせ、主にハーフサイズカメラを使用し、撮影したフィルムを撮影順に並べたコンタクトプリントが一つの作品になる「コンタクトプリント」シリーズや、1990年代後半からは、異時同図で描かれる日本古来の絵巻物を参考に、イメージを繋ぎ、貼り合わせる「パトローネ」シリーズを制作し、写真では表現し難い“時間のながれ”、“意識のながれ”といった目に見えない概念を、写真表現を通して追求してきました。

パトローネシリーズで使用していた印画紙が生産中止となり、写真作品の制作が困難になった伊藤は、新しい表現の道を模索します。

フィルム写真を愛用し、暗室作業を好んだ伊藤は、使うことのなくなったフィルムを手に取り、日々眺めながら、作者にとって「様々なイメージをかきたてる存在」であるフィルムから様々なことに思いを巡らせます。そして、写真作品制作時にも資料として絵コンテやスケッチに慣れ親しんでいたことから、この愛着あるフィルムをテーマにフロッタージュ作品の制作をはじめるようになりました。

フロッタージュは、凹凸のあるものの上に紙や布を置いて、上から擦ることにより現れる形や模様の偶然性を利用して表現する技法ですが、伊藤のモチーフは主にフィルムであり、そのテクスチャーを利用した表現というより、フィルムから広がった想像の世界を表現した画面構成が特徴と言えるでしょう。

2015年頃からフロッタージュ作品の制作を始めた伊藤は、ほぼ毎日机に向かい制作を続けており、これまでに400点近くの作品を生み出してきました。

前作「フロッタージュ -フィルムの中-」では8×10(エイトバイテン)のフィルムをベースに描き、その中に35mmフィルムを題材に、伊藤が写真家としてのキャリアの中で表現し続けてきた意識や時間の流れといった、写真に向き合う思考を表現した初期シリーズをご覧頂きましたが、本展は2020年から2024年にかけて制作された作品の中から「暗室讃歌」と題して、一つ一つ緻密な手作業によって暗室への溢れる想いを形にしたオマージュ作品をご覧いただきます。

 

 

フロッタージュ   – 暗室讃歌 –

橙光の灯る小さな暗室で、露光した印画紙をおそるおそる現像液の中に入れる。ピンセットでゆっくり動かすと、印画紙上に少しづつ像が現われはじめる。そのさまに、なんとも言いがたくただ見惚れていた。

はじめてプリントを作った時のことを思いだす。

 

伊藤義彦

伊藤義彦(いとう よしひこ

1951年山形県生まれ。1977年、東京綜合写真専門学校卒業。35ミリ版ハーフサイズのカメラで撮影したフィルム1本分全部を、一枚の印画紙の上に焼き付けた独特なコンタクトプリント作品を発表。撮影したそれぞれのコマが全体の中で占める位置を綿密に計算、想定し、一枚のコンタクトシートが一つの絵を作り出す作品や、作者と対象の間に存在する、目に見えない時間や意識の流れを一つの画面の中に表現した。また、2000年頃からはこれまでの手法から離れ、プリントを裂き、イメージを継ぎ合わせ再構築することにより、時間を凝縮させた独特の世界観を表現した「パトローネ」シリーズを発表。2015年頃よりフロッタージュ作品の制作を始める。

近年の主な個展に、「フロッタージュ ―フィルムの中―」PGI(東京、2022年)、「Contact Print Stories」1839 Contemporary Gallery(台北、2018年)、「時空的錯置」泰吉軒(北京、2018 年)、「箱のなか」PGI(東京、2017年)がある。