川田 喜久治

Last Things

2016.1.8(金) − 3.5(土)
PGI

川田 喜久治

Last Things

2016.1.8(金) − 3.5(土)
PGI

  • ©Kikuji Kawada

  • ©Kikuji Kawada

川田喜久治は、敗戦という歴史の記憶を記号化するメタファーに満ちた作品「地図」を1965年に発表し、以来現在に至るまで、常に予兆に満ちた硬質で新たなイメージで私たちの知覚を刺激し続けています。

特に初期作品「地図」は2014年からロンドンのテート・モダンを皮切りにヨーロッパを巡回した「Conflict, Time, Photography」展にて大きく取り上げられました。地図88作品のうち84点を展示、川田自身初めてほぼ全てのイメージを一同に展示致しました。同時期にMACKより出版された新版「Last Cosmology」も好評を得、2015年夏のAperture Magazine Tokyo Issueでもロングインタビューが掲載されるなど、日本のみならず世界中で注目を集めています。
川田は2002年から10年以上、都市に現れる現象をテーマにしたシリーズを作り続けてきました。2010年には「World’s End」2012年には「2011-phenomena」を発表、このシリーズの集大成となる本展では2013年から2015年にかけて撮影された「Last Things」を展示致します。

写真という表現媒体そのものが持つ「抽象化・異化・暗喩」する可能性を存分に意識し、スナップの手法により捉えた現実世界を写真家という記録者(=川田喜久治)の表現として写真画面上に表した作品です。
ポール・オースターの名作、柴田元幸氏の名訳である「最後の物たちの国で」が作品制作の機動力になったと作者は語っています。人間の暮らす都市が現在直面する目に見えない緊張を、点描画のような埃の堆積や、雲や太陽の天体の表情、人工物に絡まる繁茂した蔓草など、都市に現れる現象を撮影することで表現しています。

川田 喜久治(かわだ  きくじ)
1933年茨城県に生まれる。 1955年立教大学経済学部卒業。『週刊新潮』の創刊(1956年)より、グラビア等の撮影を担当。1959年よりフリーランス。「VIVO」設立同人(1959〜61年)。主な個展に「ゼノン ラスト・コスモロジー」フォト・ギャラリー・インターナショナル [以下P.G.I.](東京 1996年)、「カー・マニアック」P.G.I.(東京 1998年)、「ユリイカ 全都市」P.G.I.(東京 2001年)、「川田喜久治展 世界劇場」東京都写真美術館(東京 2003年)、「地図」P.G.I. (東京 2004年12月-2005年2月)、「川田喜久治写真展 Eureka 全都市 Multigraph」東京工芸大学写大ギャラリー(東京 2005年)、「見えない都市」P.G.I.(東京 2006年)、「川田喜久治展 ATLAS 1998-2006 全都市」エプサイト(東京 2006年)、「遠い場所の記憶:メモワール 1951-1966」P.G.I.(東京 2008年)、「ワールズ・エンド World’s End 2008〜2010」P.G.I.(東京 2010年)、「日光-寓話 Nikko-A Parable」P.G.I.(東京 2011年)、「2011-phenomena」P.G.I.(東京 2013年)、「The Last Cosmology」Michael Hoppen Gallery(ロンドン 2014年)、「The Last Cosmology」L. PARKER STEPHENSON PHOTOGRAPHS(ニューヨーク 2014年)がある。グループ展多数。作品は東京国立近代美術館、東京都写真美術館、ニューヨーク近代美術館、サンフランシスコ近代美術館、テート・モダンなどにコレクションされている。