森下 大輔

Dance with Blanks

2021.4.16 (金) - 6.5 (土)
休廊:4/29(木・祝)〜5/5(水・祝)
PGI

森下 大輔

Dance with Blanks

2021.4.16 (金) - 6.5 (土)
休廊:4/29(木・祝)〜5/5(水・祝)
PGI

  • ©Daisuke Morishita

  • ©Daisuke Morishita

  • ©Daisuke Morishita

  • ©Daisuke Morishita

  • ©Daisuke Morishita

  • ©Daisuke Morishita

  • ©Daisuke Morishita

  • ©Daisuke Morishita

休廊:4/29(木・祝)〜5/5(水・祝)

  *4/30(金),  5/1(土)は休廊となります。

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PGIでは初めてとなる、森下大輔の個展を開催いたします。

森下は、「存在」や「関係性」を核となるテーマにしています。事象を見つめ、シャッターを切り、暗室でプリントを制作、印画紙の上に二次元の視覚表現として立ち上がらせる、という変哲のない写真行為の繰り返しのなかで、写真を通して世界の原質に触れようとし、その直接性を追求し続けています。

2021年1月には第19回千葉市芸術文化新人賞奨励賞を受賞。今後の活躍が期待される写真家です。

自身と他者の関係性の中で、自らの内にある「空白」を意識するようになったという作者。当初は空虚や虚妄のようなネガティブなイメージを抱いていたましたが、それらが徐々に変化し、作品を制作する上で欠かせない要素と感じるようになったと言います。

「Dance with Blanks」では遠景と、近景の構図が並びます。遠景のランドスケープは、視線を誘うビル群や木々が却って、空や、建物の狭間などの空白を際立たせています。肉体と場面との距離が、そのまま世界への精神的な距離のように見え、見つめる人の存在を思わせます。翻って、視線をそのまま切り取ったかのような近景は、時に荒々しさも持って眼前に迫ります。瞬時には状況を把握し難いそれらのイメージでは、モノクロ作品のシャドウ部分とハイライト部分が絶妙な効果を成し、画面は被写体で埋まっているものの、まるで空白が存在するような印象を与えます。それは、見る人を迷わせ、「空白」の中に置き去るかのようです。

本展のタイトル「Dance with Blanks」にあるBlank(空白)は、仏教における「空(くう)」という概念に通じるものがあります。全ては運動の中にあるという「空」の考え方は、「存在」そのものをテーマに据える森下にとって深く感得できるものでした。写真家として、空白とともにありながら、印画紙の上に新たな空間を創造していきたい、と語っています。

本展では、ゼラチンシルバープリント作品約30点を展示いたします。

 

たとえ世界が単なる像や触感に過ぎないとしても、私たちは一つ一つの現実について、そこに宿った名前や意味が真実であるとして日々を生きている。

 

異国の歌を憶えること。遠くの山が三つの名を持つこと。飛ぶ鳥と空が交わること。

鏡を見るように、月を見ること。重力に触れること。葉脈と血管が繋がること。雪が白く燃えること。

 

名前や意味は、私たち一人一人の活動の内でその都度生起する。つまり私たちはいつも、新しい世界を創出する基点なのだ。そしてそこから生まれるもののなかで、世界にも私たち自身にも還元できないものが自由である。自由は、幸福とともにあることだろう。

 

空白と踊る。空白を踊れ。空白を満たすことなく。

森下大輔

森下 大輔(もりした  だいすけ)

1977年生まれ。2005年、「重力の様式(新宿ニコンサロン )」でのデビュー以来、一貫してモノクロ銀塩写真を用い、写真の純粋性を追求している。個展を中心に作品を継続的に発表しており、その作品の迫真性や、観客の想像力に訴える力量には特筆すべきものがある。

近年は個展だけでなく写真集による表現にも意欲的に取り組んでおり、2017年から、自身が主宰する写真集レーベル、asterisk booksより三冊連続で写真集を出版している。asterisk booksでは自身の写真集だけでなく、編集を担当し、千葉桜洋「指先の羅針盤」、Abe Mariko「Voice of a bird」を出版している。

デジタル全盛の昨今において、フィルムと印画紙による銀塩プリントの可能性を追求し、鑑賞者の視覚的、身体的な感覚の深化に与することで、社会的な視覚文化の涵養に貢献している。2021年1月にはそれまでの活動が評価され、第19回千葉市芸術文化新人賞奨励賞を受賞。