濱田 祐史

Pulsar + Primal Mountain

2013.5.7(火) - 6.29(土)
Photo Gallery International

濱田 祐史

Pulsar + Primal Mountain

2013.5.7(火) - 6.29(土)
Photo Gallery International

  • ©Yuji Hamada

  • ©Yuji Hamada

この写真展は「Pulsar」と「Primal Mountain」の2つの作品から構成されます。

 

私たちの身の回りに当たり前の物としてある光。濱田祐史は「Pulsar」で、身近にある何気ない場所を写真におさめ、事物そのものではなくよりその光に焦点を当てることで、意識しなければ通り過ぎてしまう美しい光景を描きます。

 

「『見る』とはどういうことなのか、『見えない』とはどういうことなのか?」という謎を視覚表現である写真を通して探求することが濱田にとって大きなテーマとなっています。
写真を撮り作品を作る中で、日常生活の中で手に入る情報と、実際に体験している社会状況の差に気付いたことが大きなきっかけとなりました。

 

「Pulsar」とは、可視光線を発する天体のことで、高速で回転する中性子星だと考えられています。
Photographという単語が「光」と「描く」という意味から成ること、また「光」という具体的に目には見えないものを見てみたいという欲求から撮り始めたこのシリーズは、まさに光そのものをテーマとしています。
自身が日常生活を送る東京の身近な場所で、光そのものに焦点を当てることで身の回りに存在する事物の輪郭がはっきりと浮かび上がります。

「Pulsar」で「見る」ことに向き合い作品を作る中、2011年の東日本大震災が起こりました。テレビから送られてくる信じがたい津波の映像や、震災後の情報の不確かさに揺れた日常の中で、テレビやインターネット、新聞などから送られ私たちが受信している情報と、能動的に体験し見つめている現状の差についてのテーマがより深く作家の中に根を下ろし、「Primal Mountain」に繋がりました。

 

最新作の「Primal Mountain」は一見すると山の風景写真の様に見えますが、実は私たちの身近にある素材で作られた「山」であることに気付きます。この作品を通して濱田は見るという行為は何かをもう一度問い直すきっかけを私たちに提示します。光と影、日常と非日常、リアルとファンタジー。濱田の写真の中では、それら本来なら相反する要素が自然な形で解け合っています。現実と非現実の間をたゆたうような美しいイメージの矛盾に気付く時、私たちが生活の中で「見て知ること」の大切さをもう一度考えるきっかけとなるでしょう。

 

「真実と虚」、「見えるものと見えないもの」という自身のテーマを震災の体験が繋がっていく中、ある日友人から届いた山の写真のポストカード。濱田は、そこに写る美しさとともにある嘘っぽさに、これらの「山」は果たして本当の山なのか、という疑問を抱き、「Primal Mountain」の撮影を始めました。
原始の山とは私たち人間が山に対して抱くイメージを意味しています。

 

本展ではカラー作品、30余点を展示いたします。

濱田祐史 x Dan Abbe スライド・レクチャー 2013年6月22日(土) 16:00~ 要申込

 

 

濱田祐史 ARTIST page

濱田 祐史(はまだ  ゆうじ)

1979年大阪府生まれ。2003年、日本大学芸術学部写真学科卒業。東京を拠点に活動し国内外で作品発表をしている。写真の原理に基づき概念を構築し、ユニークな技法で常に新しい試みを行う。

主な個展に『R G B』、『C/M/Y』(PGI、東京)、『photograph』、『Primal Mountain』(GALERIE f5,6、ミュンヘン) がある。スイスのフォトフェスティバル Images (2014)、 フランスのエクス=アン=プロヴァンス・フォトフェスティバル (2015) などに参加。

主な写真集に、印刷技術も写真表現のひとつとした写真集『C/M/Y』(Fw:books、2015)、スイスに滞在して雪山登山の過程の記録を落ちている枝のみを撮影し制作した『BRANCH』(lemon books、2015)。2019年11月に『Primal Mountain』(torch press) が出版された。

 

 

PGI Exhibitions

2019年  K  
2018年 R G B
2017年 Broken Chord
2015年

C/M/Y

2013年 「Pulsar + Primal Mountain」