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©Kazuyuki Soeno
P.G.I. 10 Days Exhibition と題するこのシリーズでは、若手や新人、中堅の写真家、あるいはポートフォリオ作品などを紹介する企画展で、テーマのみならず表現方法や展示方法など個性的な作品を発表するものです。
1996年、信号無視のトラックに撥ねられた作者は、事故から一週間後、救命救急病院の集中治療室で目覚めた。
意識が戻った時、最初に視覚に飛び込んできたのが光だったという。その後1ヶ月間の集中治療室での生活で、毎日のレントゲン撮影や内視鏡検査を通じ、自分自身の体内を見つめ続けることになった。
添野の作品にはこの時の体験が反映されている。
「獣虫酒水図譜」は四つのシリーズから構成されている。「翅のフォトグラム」と題されたシリーズでは、路上に落ちている昆虫の翅を引伸機にセットし印画紙に焼き付ける手法を用いた。翅に直接光を与え印画紙に定着する事により新たな命を吹き込む。しかしそれらは本当の命ではない。印画紙という物質に変換され た、言わば「光の化石」であると作者は語る。
また「水」のシリーズでは、形のない光が水に反射する事でそれらしい姿を現すと語り、水を媒体として光を捉えている。
本展では「エゾジカ」「翅のフォトグラム」「酒のフォトグラム」「水」の4シリーズ、モノクロームプリント作品30余点を展示。
添野 和幸(そえの かずゆき)
1968年 神奈川県出身
1991年 東京造形大学造形学部卒業
1992年 東京造形大学造形学部研究生修了
個展
2001年 Gallery工房親(東京)
2002年 コニカプラザ(東京)
2003年 Gallery工房親(東京)
2006年 Gallery工房親(東京)
他、個展・グループ展多数
受賞 コニカフォトプレミオ入賞(2002年)、資生堂第12回ADSP入選(2005年)
PGI Exhibitions
2008年 | 「獣虫酒水図譜 P.G.I. 10 Days Exhibition — vol. 19」 |