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©Ikko Narahara Archives
昨年12月から3月9日まで、パリのヨーロッパ写真美術館で奈良原一高氏の初めての回顧展「IKKO NARAHARA」が開催されました。この写真展は、戦後の日本を代表する写真家・奈良原一高の初期の作品「無国籍地」から最新作「Double Vision」まで、モノクロームの作品120点余りが展示され、1950年代の日本、60年代のヨーロッパ、70年代のアメリカ、そして21世紀の東京へと、空間を移動し時を旅して来た氏の、自らの美意識と現実の光景が奇跡的に出会う瞬間を捉えてきた軌跡を見ることが出来ます。この回顧展の最終部分に展示された最新作「Double Vision」は、3部で構成される「天」シリーズの第3の部分となっています。
「天」のシリーズは、アッジェが亡くなる前年に撮ったソー公園のシリーズが好きだった氏が、同じ年齢になった時にソー公園へ出かけたことから始まります。その後病で入院中に物が二重に見える体験から、両目の視覚を切り離して重ね合わせる構想を見出したのでした。第1部 「Seven Heavens – Roma」(1998)は、狭い視野で天をのぞく単眼の世界、そして第2部「Vertical Horizon – Tokyo」(1991-1995)はマルチプルな視野へと展開し、第3部「Double Vision – Paris」(2000-2002)で人間の複眼を通って人間の体の中に世界が収まるという流れになり、写真集「HEAVEN [天]」として昨年出版されました。
今回展示される「天」は、この写真集「HEAVEN [天]」に収録されたカラーおよびモノクローム作品をプリントサイズや展示方法などを熟考して再構成し、空間としての意識を最大限に生かした展覧会です。 これらのプリントは、撮影したネガフィルムから画像をコンピュータに取り込み、複数イメージの合成やカラーの調整を行い、それぞれの作品に適したペーパーにインクジェットプリントされています。従来のアナログ処理では出来なかった部分をコンピュータを駆使して制作されており、氏が取り組んだ初めてのデジタル写真作品です。45点を展示いたします。
EPSON PHOTO GARDEN
デジタルフォトセッション 奈良原一高X飯沢耕太郎
デジタル時代のオリジナルプリントについて対談
巡回展スケジュール:
京都展:2003年6月10日(火)〜22日(日)
京都造形芸術大学・GALLERY RAKU
〒606-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116 tel.075-791-9124
開館10:30-18:30(最終日は17:00まで)会期中無休/入場無料
福岡展:2003年7月1日(火)〜30日(水)
九州産業大学美術館
〒813-8503 福岡市東区松香台2-3-1 tel.092-673-5160
開館時間10:00-17:30(入館は17:15まで) 月曜休館
入場料:大人200円(個人)100円(団体)/ 学生100円(個人)50円(団体)
奈良原 一高(ならはら いっこう)
1931年生まれ。1954年中央大学法学部卒業。1959年早稲田大学大学院美術史専攻修士課程修了。
1987年第3回東川町国際写真フェスティバル国内作家賞を受賞。1996年紫綬褒章を受章。
近年の主な写真集に「ブロードウェイ」(1991年クレオ)、「デュシャン大ガラスと瀧口修造シガー・ボックス」(1992年みすず書房)、「空」(1994年リブロポート)、「ポケット東京」(1997年クレオ)がある。
個展、グループ展多数。
PGI Exhibitions
2015年 | 「Japanesque 禅」 |
2003年 | 「天」 |
1998年 | 「消滅した時間 1970−1974」 |
1991年 | 「復活の都市・1990」 |
1991年 | 「ブロードウェイ」 |
1988年 | 「日本の写真家8人展」 |
1987年 | 「人間の土地 1954−57」 |