©Yuki Shimizu
参加作家:清水裕貴
清水裕貴 / 川田知志 / 臼井良平 / 庄司朝美
2024年12月14日(土) - 3月30日(日)
10:00 – 18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日、年末年始(12/28-1/1)、1/14、2/25
観覧料:一般1,000円 大学・専門生・65歳以上900円
場 所:東京都現代美術館
オンラインチケット販売 (12/11 10:00〜)
近年、「今ここに立っている」という身体感覚を持つことがますます困難になりつつあります。通信技術や交通手段の発達により、日々膨大な情報に否応なくさらされ、どこへでも移動しやすくなったことで、その傾向はさらに顕著になっています。こうしたなかで、自分自身の足元が何によって形をなし、どこにつながっているのかをあらためて問う行為は、私たちの身体が置かれる場への気づきを引き出し、進むべき方向を探るひとつの手だてとなるでしょう。
副題にある「しま」は、4名の作家が拠点を置く「日本」の地理的条件に対する再定義を含んでいます。この太平洋北西部の島々を、他の陸地から切り離されて海に浮かぶ「閉じられた地形」ではなく、地殻変動を経て海上に現れた地表の起伏であり、海底では他の大陸や島と地続きに連なる「開かれた地形」として捉え直すことは、水面下での見えざるつながりを確かめるための別の視座を提示します。それは、従来の枠組みや境界を超え、あらゆるものが複雑に相作用する世界を見つめ、深く思いをめぐらせることでもあるのです。
本展の作家の仕事もまた、自身の足元を起点にしながら、より大きな文脈や関係へと開かれています。彼ら/彼女らは多様なアプローチを通じて、現実の世界を視覚的に置き換え、描き出すことにより、身のまわりや自己の多義性や重層性と対峙します。これらの作品は、作者の解釈や意図を超え、見る者がそれぞれの視点や感覚、経験を通して主体的に意味を見出すための装置として働き、それぞれに異なる見かたや感じかたを促します。
日本の社会は、戦後その大半を失ったところから再建を始め、経済発展を根拠とする幸福と繁栄への道を歩み、1990年代以降は低迷と停滞が続いていると言われます。しかしながら、こうしたリニアな語りにおいて、複数の要因が絡み合う対立や葛藤は、しばしば解消されないまま見落されてきました。そこで本展では、身辺の汲みつくせない出来事や状況を個々の視点から見直し、形を与えようとする作家たちとともに、もつれ合う世界の複雑さをいかに引き受けるのかという問いに向き合います。
関連プログラム
出品作家による対話シリーズ
会場:東京都現代美術館 B2F 講堂
定員:180名(事前予約不要、当日先着順)
参加費:無料
①庄司朝美 × 伊藤亜紗
2024年12月22日(日) 14:00~15:30
②臼井良平 × 井出賢嗣 × 西村有
2025年1月4日(土) 14:00~15:30
③清水裕貴 × 橋本一径
2025年1月11日(土) 14:00~15:30
④川田知志 × 青木淳
2025年1月18日(土) 14:00~15:30