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©Kozo Miyoshi
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【冬期休廊】
2024年12月26日(木)より2025年1月7日(火)まで年末年始休業させていただきます。
2025年は1月8日より営業致します。
三好耕三は、1970年代に写真家としてのキャリアをスタートさせ、1981年から8×10インチ判の大型カメラでの撮影を始めました。
これまで数多くの作品を生み出してきた三好は、1980年代に「天真爛漫」、「傍観」、「温室」、など日本人や日本の原風景を捉えた作品を発表した後、90年代には5年間、米国アリゾナ州ツーソンに滞在し、「Chapel」、「Southwest」、「Airfield」、「CACTI」、「In the Road」などの作品を発表、その綿密な描写のなかに、そこに流れる時間をも感じさせる、独自の写真世界を広げていきました。
アメリカから帰国後も再び日本各地を巡り、「櫻」、「海廻り」、「東京巡景」、「津々浦々」を発表、2009年からは16×20インチの超大型カメラに持ち替え、「湯船」、「SABI」、「林檎」、「繭」など、旅と撮影を続けてきました。
本展では、前作「井戸覗き Dig a Well」同様、これまでの旅の中でシリーズにまとめることのなかった作品をご覧いただきます。
三好は、古くから伝わる祭りや桜、林檎などの撮影対象を目指し、1−2週間、長い時は一ヶ月の旅を幾度となく重ねてきました。そしてその旅の途上では、ふと出会った光景や人々にカメラを向けることもあり、それら一期一会の出会いは三好にとって大切な旅の一部として記憶されているのです。
お幼い頃見た夢をふと思い起こすことがあるように、ここに記録された人々は見る人の深層意識に呼びかけてきます。
作品は2008年から2024年までに16×20インチの大型カメラで撮影し、密着プリントされた作品、約25点をご覧いただきます。
童夢
又、遠い昔の話だ。
週末になると、でも毎週末ではない。多分その頃、週日とか週末とかの認識はなかった。その日一日が総ての一日だった。年に二度やって来るお祭りの時以外、人気がないお不動さんの境内に、雷のオヤジと呼ばれていた紙芝居がやって来た。どうして雷のオヤジと呼んでいたかは定かではない。他所の町の紙芝居は拍子木を打って子供達にやって来たことを知らせていた気がする。でも、このオヤジは太鼓を鳴らして子供達に来たことを知らせていた。だからかも知れない。多分五円か十円で、ソース塗り煎餅、竹棒に巻いた水飴を買う小遣いがある子供達が紙芝居を見ることが出来たのだ。
思うに紙芝居は有料の出し物だったのだ。出し物の黄金バットやクイズよりも、このオヤジはどこから来て、どうしてこの仕事をしているのか、不思議に感じていた。暫くして、出現するテレビジョンよりも不思議な存在だった。何よりこのオヤジに興味があったのは、その日小遣いがない子供にも少し離れた場所からだったら見せてくれたことだった。地面に線を引いて差別をするわけでもない、でもしっかりと区別はされていた。幼稚な子供心に、よれた麦わら帽子の、皺だらけの日焼けした、雷のオヤジの仕様が好きだった。思い起こせば、成長の節目節目に出会う何人かのヒーローがいた。このオヤジは一番最初のヒーローだったかも知れない。なにかの拍子に今だにふと思い起こすことがある。
三好耕三
三好 耕三(みよし こうぞう)
近年の主な個展に「井戸覗き Dig a Well」PGI (2022年)、「SHASHIN 写真」キヤノンギャラリーS(2021年)、「櫻 SAKURA」PGI (2020年)、「On the Road Again &YUBUNE」BOOKS f3(新潟 2020年)、「繭 MAYU」PGI (2019年)、「On the Road Again」PGI (2017年)、「RINGO 林檎」PGI (2015年)、「SABI」フォト・ギャラリー・インターナショナル<以下P.G.I.>(2013年)、「1972〜」gallery916 (2013年)、「YUBUNE 湯船」P.G.I. (2012年)、「櫻」1839當代画廊 (台北2011年)、「SEE SAW」P.G.I. (2010年)、「SAKURA 櫻覧」P.G.I. (2009年)、「津々浦々」P.G.I. (2007年)、「Tokyo Drive 東京巡景」P.G.I. (2006年)、「Seagirt海廻り」P.G.I. (2004年)、「SAKURA 櫻」P.G.I. (2003年)、「CAMERA 写真機」P.G.I. (2002年)、「Tokyo Street 横丁」P.G.I. (1999年)、「In The Road」P.G.I. (1997年)。
主なグループ展に、「Farewell Photography: The Hitachi Collection of Postwar Japanese Photographs: 1961-1989」フェニックス美術館 (米国 2022年)、「Longer Ways to Go」フェニックス美術館 (米国 2017年)、2015年「In the Wake: Japanese Photographers Respond to 3-11」ボストン美術館 (米国 2015年)、「スピリチュアル・ワールド」東京都写真美術館 (2014年)、「Reinventing Tokyo: Japan’s Largest City in the Artistic Imagination」ミード美術館 (2012年) などがある。
作品は東京国立近代美術館や東京都写真美術館、ジョージ・イーストマン・ハウス国際写真美術館(U.S.A.)、アリゾナ大学センター・フォー・クリエイティブ・フォトグラフィー(U.S.A.)、ヒューストン美術館(U.S.A.)などにコレクションされている。