ミカエル・レヴィン

Critical Places

2026.11.20(金) - 2027.1.16(土)
年末年始休廊:12/19 - 1/6
PGI

ミカエル・レヴィン

Critical Places

2026.11.20(金) - 2027.1.16(土)
年末年始休廊:12/19 - 1/6
PGI

  • John Quarstein. Cypress Bridge over Nottoway River. 2023 / Nat Turner Insurrection. 1831
    ©Mikael Levin

  • 4th of July. La Grange, Missouri. 2022 / The Lin Uprising, 1849
    ©Mikael Levin

  • Astoria, Queens, New York. 2021 / The Newtown Revolt, 1708
    ©Mikael Levin

  • Lizzie Ln, off Route 22, Madison County, Mississippi. 2021 / Madison and Hinds Counties Rebellion, 1835
    ©Mikael Levin

  • The Hanging Tree. Cherry Grove Plantation. Adams County, Mississippi. 2024 / The Second Creek Conspiracy, 1861
    ©Mikael Levin

  • York, Pennsylvania. 2019 / Margaret Bradley Conspiracy, 1803
    ©Mikael Levin

 PGIでは、国内では初めてとなるアメリカの写真家、ミカエル・レヴィン(Mikael Levin)による展覧会「Critical Places」を開催いたします。

レヴィンは1977年、ロンドンのThe Photographers’ Galleryで初個展を開催し、写真家としてのキャリアをスタートさせました。以来、「場所」「アイデンティティ」「時間性」をめぐる写真表現を追求してきました。現在はニューヨーク州ロングアイランドを拠点に活動しています。

 本展では、奴隷制下のアメリカで起きた反乱の舞台となった場所を訪れ、現在の風景を撮影したシリーズ《CRITICAL PLACES; SITES OF AMERICAN SLAVE REBELLION》をご紹介いたします。

 彼が撮影するのは、一見すると何気ない人々の生活の場所や風景です。しかし、同時にそこは、1700年初頭から1800年代まで100年以上に渡って続いた、アメリカ各地で起きた奴隷反乱や蜂起の舞台となった場所です。そこに残されているのは、歴史を伝える記念碑や標識ではありません。道路や森、空き地、住宅地など、特別な意味を持たない現在の風景の中に、かつての出来事の痕跡が埋もれています。

レヴィンは、それらの場所を実際に訪れ、自らの経験を写真として記録します。カメラを通して現在の風景と向き合うことによって、私たちの歴史認識そのものが問い直されます。

 こうした「記憶されていること」と「忘れられていること」の差異は、単なる歴史上の空白ではありません。何が記憶され、何が忘れられるのかという選択の背後には、社会の価値観や権力関係が存在しているでしょう。

2025年にはグッゲンハイム・フェローシップのフェローに選出されるなど、長年にわたり国際的に活動してきたレヴィン。本展は、彼の作品を日本で初めてまとまって紹介する機会となります。

 本展では、《CRITICAL PLACES; SITES OF AMERICAN SLAVE REBELLION》より、ゼラチンシルバープリント、約25点を展示いたします。

 

 

Critical Places

 〈Critical Places〉は、奴隷にされた人々の反乱が、風景の中でどのように記憶されているのか、あるいは記憶されていないのか、ということについての作品です。私は、実際にこれらの場所を訪れ、そこで目にしたものを写真に記録しました。そしてそれらを「歴史的意識の地形」の中にある「重要な場所(critical places)」として示し、これらの反乱が、現在の社会や経済構造の中で、どのような形で響き続けているのかを浮かび上がらせようとしています。

これまで書かれてきた歴史の多くは、ほんの一握りの大規模な反乱に焦点を当てています。しかし、こうした反乱が実際にはどれほど広範に起こっていたのかということは書かれた「歴史」からは抜け落ちています。奴隷にされた人々が、アフリカから最初に連れてこられた時から南北戦争に至るまで、250件を超える反乱が起きていました。

 また、彼らが束縛に抵抗した方法が多岐にわたるのと同様に、反乱にもさまざまな形があったということも、十分には語られていません。陰謀、殺人、逃亡、そして時には、単なる噂によって人々が命を奪われることさえありました。その大部分について、今日私たちが知ることのできる情報はほとんどありません。その実像を捉えるためには、しばしば記録の行間を読み、そして沈黙そのものを読む必要があります。

今まで撮影してきた15の反乱は、全体のほんの一部です。つまりこれは、反乱の歴史を網羅的かつ権威的に記録したものでも、その総括でもありません。私にはその役割を担う立場にはありませんし、その資格もありません。私が取り上げなかった中にも、歴史的に重要な反乱があったことを、より専門的な立場にある人々が指摘することでしょう。

 私が選んだのは、より個人的な選択によるものです。それは、歴史をより局所的かつ細部に即して捉える視点でもあります。そのことは、私が撮影した写真に表れる、日常的な風景や出来事のあり方にも示されています。

ミカエル・レヴィン

ミカエル・レヴィン(Mikael Levin)

1954年、ニューヨーク市に生まれる。アメリカとフランスの国籍を持ち、現在はニューヨーク州ロングアイランドを拠点に活動している。場所、アイデンティティ、時間性に対する概念を探求し、記憶にかたちを与える作品を制作している。

2025年にグッゲンハイム・フェローシップを受賞。主な美術館での個展に、ユダヤ教美術・歴史博物館(パリ、2010年)、ベラルド美術館(リスボン、2009年)、フランス国立図書館(パリ、2003年)、国際写真センター(ニューヨーク、1997年)、メンドーサ財団(カラカス、1980年)がある。

作品は、ホイットニー美術館(ニューヨーク)、ユダヤ博物館(ベルリン)、フランス国立造形芸術センター(パリ)、ストックホルム近代美術館などに収蔵されている。2003年にはヴェネチア・ビエンナーレに作品が出品された。日本で作品が紹介されるのは本展が初めてとなる。