-
©Jerry Spagnoli
-
©Mike Robinson
-
©Takashi Arai
-
©Binh Danh
-
©Binh Danh
-
©Craig Tuffin
-
©Yoko Mochizuki
【お知らせ】
◆アートウィーク東京に参加のため、11月7日 (日)は開廊します。
PGIは「ケア: 今日のダゲレオタイプ──不確実性の時代のために」をテーマにコンテンポラリー・ダゲレオタイプス日本委員会との共催で展覧会を開催いたします。
Care/ケアという言葉からは、様々なことが派生して考えられます。
多発する災害や紛争、そしてパンデミックに翻弄されながら生きる不確実性の時代において、写真が何を写してきた、または写すことができるのかという問いを持った時、このテーマがあがりました。
家族や社会、自己、他者、当事者などの価値観を考える時、写真というメディアがどのように人と人との間に存在しうるのかを改めて考えることが、この展覧会のひとつのミッションでもあります。
本展覧会では、新井卓、ビン・ダーン、ジェリー・スパニョーリ他の特別展示作品とともに、公募企画の入賞作品も一堂に展示されます。
公募について
この公募展は現代においてダゲレオタイプに取り組むすべての人々に開かれたものです。
写真黎明期の19世紀、ダゲレオタイプは近しい人々や愛する家族、そして自分自身の存在を未来へ伝えたるために撮影されました。写真は空間をこえて瞬時に共有することが可能になった現代でも、その初期衝動は家族のアルバムやプライベートな写真の営みのなかに受け継がれています。そして新型コロナウイルスが世界を覆い尽くす今、私たちひとりひとりの生のかけがえのなさ、そしてその存在の儚さを、誰もが意識する時代になったのではないでしょうか。本展が、個々人のための〈記憶装置〉としての写真のあり方を、危機の時代を生きる私たちの生活のなかに再発見する契機になることを願っています。
公募結果につきましては、弊社Webサイトをご覧ください。
www.pgi.ac/7293
コンテンポラリー・ダゲレオタイプス日本委員会と「IO-2(Image Objects Exhibition vol.2)」
コンテンポラリー・ダゲレオタイプス(Contemporary Daguerreotypes)は2008年にニュージーランドのダゲレオタイピスト、アラン・ベッキスにより創設、ダゲレオタイプ(銀板写真)を21世紀において追求することを目的とした国際オンライン・コレクティヴでした。2012年にはニューヨークのペナンブラ財団 (Penumbra Foundation)にて、展覧会「IO-1(Image Objects Exhibition vol.1)」を開催、16ヶ国から33人のダゲレオタイピスト、74作品が集結しました。2020年にウェブサイトの更新を停止するまで、約20ヶ国、約80名のメンバーにより自由な議論と知識の交換が行われ、多くの実践者の道しるべとなってきました。
今秋開催の「IO-2」はベッキス氏が築いた礎を引き継ぎ、コミュニティの火を絶やさないため企画された第二回目の国際イベントです。
IO-2: Image Objects Exhibition vol.2 公式ウェブサイト
国際オンラインシンポジウム
「適応と回復のための写真:ダゲレオタイプの歴史・技術・アート」
日時: 2021年10月31日 午前8:00〜正午 (日本時間)
場所: オンライン開催
参加費: 無料
ケア: 今日のダゲレオタイプ──不確実性の時代のために
1839年、写真の歴史はダゲレオタイプ(銀板写真)の登場とともに幕を開けました。それから180余年、メディアの発達とともに、写真は〈現実〉を切り取って他者と共有し、人々を動機づける手段としてあらゆる分野で活用されてきました。しかし19世紀当時──とりわけ複製不可能なダゲレオタイプが主流だった時代には──写真は、家族や愛する人々、自分自身の姿をはるか未来に運ぶための〈記憶装置〉として求められ、市井の人々が特別な感情をこめて営む行為だったのです。
2011年の東日本大震災直後、津波で流出し浜辺に打ち上げられた家族写真をボランティア・グループが洗浄し犠牲者の親族に返還した活動は、いまだ記憶に新しい出来事です。一度は忘れられたかに思えた名もなき人々のための〈記憶装置〉としての写真の価値は、21世紀においても決して失われていなかったことが、そのとき明らかになりました。
多発する災害や紛争、そしてパンデミックに翻弄されながら生きる不確実性の時代。生と死の意味について、また他者へ手を差しのべることについて、わたしたちは一人一人、自問をはじめたのではないでしょうか。
「ケア」の時代──〈記憶装置〉 としての写真/記憶をもった鏡・ダゲレオタイプに、いま、わたしたちの姿はどのように映るのでしょうか。
コンテンポラリー・ダゲレオタイプス日本委員会 Contemporary Daguerreotypes Japan Committee
代表 新井 卓(あらい たかし/アーティスト・映画監督)
【参加ダゲレオタイピストの紹介動画】
【ダゲレオタイプの作り方】
特別展示作品作家
新井 卓(あらい たかし)
1978年神奈川県川崎市生まれ。写真の原点を探るうち最初期の写真術・ダゲレオタイプ(銀板写真)を知り、試行錯誤ののち同技法を習得。対象に出会ったときの感覚を、時間と空間を超えて、見るものに生々しく伝えることのできる<小さなモニュメント>として、自身のメディアとしてきた。2014年に英国ソースコード・プライズ(現 The Solas Prize)、2016年には第41回木村伊兵衛写真賞、日本写真協会賞新人賞、神奈川文化賞未来賞を続けて受賞。2018年、映像詩『オシラ鏡』で第72回サレルノ国際映画祭短編映画部門最高賞。スミソニアン博物館、ボストン美術館、サンフランシスコ近代美術館、東京国立近代美術館、東京都写真美術館、ギメ美術館ほか多数の美術館に作品収蔵。
ビン・ダーン(Binh Danh)
1977 年ベトナム生まれ、アーティスト、サン・ノゼ州立大学助教授(写真学)。ダンはベトナム移民の歴史、 とりわけベトナム戦争に取材した作品でアメリカ国内の美術シーンで注目を集め、その後クロロフィル・プリ ントやダゲレオタイプなど様々な写真技法を横断的に使用しながら、活動を継続してきた。近年のプロジェクトに、オルタナティヴ・プロセス(古典写真技法)を駆使して制作する「戦場」のランドスケープ・シリーズ、ダゲレオタイプによるアメリカ国立公園に関するシリーズなどがある。サンフランシスコ近代美術館、フィラデルフィア美術館、ジョージ・イーストマン博物館、デ・ヤング美術館ほか美術館に作品収蔵多数。
マイク・ロビンソン(Mike Robinson)
1961 年カナダ生まれ、ダゲレオタイピスト。2017 年にロビンソン氏が発表した『The Techniques and Ma- terial Aesthetics of the Daguerreotype(ダゲレオタイプ技法と素材の美学的特質)』は、長年にわたって氏が確立したダゲレオタイプ技法に関する膨大な知見と歴史的資料の考察に基づいて、同技法の美的要素を科学 的に考察した革新的な論文として注目を集める。ロビンソン氏はダゲレオタイプ製作のための各装置を独自に改良し、アパチャー財団、ジョージ・イーストマン・ハウス、フォックス・タルボット美術館をはじめ各国でワークショップ、レクチャーなどを行い技法の普及に貢献してきた。『Young America; The Daguerreotypes of Southworth and Hawes(ヤング・アメリカ: サウスワーズ・アンド・ホーズのダゲレオタイプ)』 (2005、スタイデル)、『Coming into Focus(カミング・イントゥ・フォーカス)』(2000、ウロニクル・ブ ックス)ほか共著多数。
ジェリー・スパニョーリ(Jerry Spagnoli)
ニューヨークを拠点に、歴史の個人的な経験と、それを客観的に記録する写真技法のあり方に関心を寄せ、写真の古典技法に取り組む先駆者として活躍を続ける。2019年にSteidl社から出版された最新作『Regard』を含めた多くの書籍や出版物に作品が掲載。また、ホイットニー美術館、ボストン美術館、ナショナル・ポートレート・ギャラリー、ネルソン・アトキンス美術館、フォッグ美術館、その他の美術館に収蔵されている。
クレッグ・タフェン(Craig Tuffin)
1969年、オーストラリア生まれ。ニューサウスウェールズ州北部のトゥイード・コースト在住アーティスト、教育者。30年以上の幅広い写真教育の経歴を持ち、オーストラリアの州立学校で唯一の「19世紀の写真プロセス」を主眼におくカリキュラムを設立。ブリスベン博物館では、19世紀の写真撮影方法のコンサルタントを務める。また、多数の写真集や国内外の展示において作品を発表。ゲティ学術研究所、オーストラリア国立美術館、クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州の州立図書館などに作品が収蔵されている。
公募入賞者
Grant Romer (USA)
望月容子 Yoko Mochizuki (Japan)
Simone Choulle aka Nina Zaragoza et Hélène Vedrenne (France)
Åke Hultman (Sweden)
Anton Orlov (USA)
|