清水裕貴

微睡み硝子

2022.8.22(月) - 10.5(水)
PGI

清水裕貴

微睡み硝子

2022.8.22(月) - 10.5(水)
PGI

  • ©Yuki Shimizu

  • ©Yuki Shimizu

  • ©Yuki Shimizu

  • ©Yuki Shimizu

  • ©Yuki Shimizu

  • ©Yuki Shimizu

PGIでは2回目となる、清水裕貴の個展を開催いたします。

 清水は、第5回1_WALLグランプリ(2011年)、三木淳賞(2016年)を受賞、[Birthday beach」(nap gallery 2019年)、「Empty park」(PGI、2019年)、「既知の海」(千葉市美術館、2021年)、「百年硝子の海」(千葉市民ギャラリーいなげ、2021年)など個展多数開催、「コールドスリープ」にて千の葉の芸術祭(2021)へ参加、小説家としては2018年新潮社R-18文学大賞を受賞、今年2月には集英社より連続短編集「花盛りの椅子」を刊行、今後の活躍が期待される気鋭のアーティストです。

 写真と小説、二つのメディアを行き来する清水にとって、写真と言葉は常に共存する表現手段です。2012年のデビュー以来、「風景を撮り、作品にすること」をテーマとし、土地固有の歴史や伝承のリサーチをベースに、フィクションの構造を用いて、写真と言葉を組み合わせて表現しています。どんなに見つめても消え去り、永遠に完成しない風景に向かって、「瞬きの合間に立ち現れる幻を捕まえる」ようにシャッターを押すことで、光を写真に固着しながらも、「いつも時間に置き去りにされる」と語っています。多くの写真家が抱えるこうした過ぎ去る時間へのジレンマが、清水に白昼夢のような言葉を見つけさせているのかもしれません。そうして編まれた言葉は、清水の写真の細部を繋ぎます。

「微睡み硝子」は、2021年千葉県稲毛市にある、旧神谷伝兵衛稲毛別荘にて開催された「百年硝子の海」から派生したシリーズです。「百年硝子の海」では、変化する稲毛の海岸線を見続けた硝子の物語を紡ぎましたが、本作では、銚子の灯台、琵琶湖疏水、神戸のポートアイランド、東北の防潮堤へと、歴史や物語をじっと見ていたであろう硝子を訪ね、その光景を撮影しています。これらの場所に佇むガラスは、経済の変化や自然による大きな災害によって近代化する風景をじっと見つめてきました。

 

 硝子は、人が何かを見たいという願いを叶える。
 とりわけ水辺の硝子は、過酷な環境のなかで身を削りながら、地上でしか生きられない人に水の世界を見せてきた。邸宅の窓は砂と風雨に侵されながら、青い色彩を安全な室内に届ける。防潮堤に作られた窓は被災地の人たちに懐かしい砂浜を見せる。夜になれば室内の光を透過させて、海の世界に陸地の在処を伝える。

 そして硝子は風景を記憶する存在でもある。写真の黎明期に感光板の役割を果たし、今日も「透明」という性質から、様々な光学機械に用いられている。

 水と人の間に佇む硝子の肖像を表現することで、近現代の都市の記憶を炙り出す。

 防潮堤の窓、東京湾の旧海岸線、琵琶湖疏水、人工島の廃墟など、人の営為によってめまぐるしく変化する風景の傍らに佇んでいた硝子と周辺を撮影。そのフィルムを硝子に見立てて、有機物を塗布して黴を生やし、砂や海水に触れさせるなどして、窓硝子の身に降りかかるであろう外界の刺激を圧縮して加えた。

 

清水裕貴

 

 

本展では、クロモジェニックプリント約20点をご覧いただきます。これらのプリントは、海水や砂、カビを使って劣化させたネガを使用し、作者本人がプリントしています。そうした作業により本来の撮影で得られたイメージに、傷や、埃や砂、黴が写り込み、ガラスそのものの物語も見えてくるようです。

是非ご高覧ください。

 

清水 裕貴(しみず  ゆき)
1984年千葉県生まれ。2007年、武蔵野美術大学映像学科卒業。2011年、第5回写真「1_WALL」グランプリ受賞。2016年、第18回三木淳賞受賞。小説家として2018年、新潮社R18文学賞大賞受賞。土地の歴史や伝承のリサーチをベースにして、写真と言葉を組み合わせて風景を表現している。近年は小説も発表。2019年、船橋に予約制ギャラリーtide/poolをオープン。
主な個展に「ホワイトサンズ」ガーディアン・ガーデン(東京 2012年)、「mayim mayim」NEW ACCIDENT(金沢 2014年)、 UNDO(東京 2014年)、「熊を殺す」ニコンサロン(東京 2016年)、「わたしの怪物」Kanzan Gallery(東京 2018年)、「地の巣へ」ニコンサロン(東京 2019年)、「誕生日の海岸」tide/pool(千葉 2019年)、「Birthday beach」 nap gallery(東京 2019年)、「Empty park」PGI(東京 2019年)、「既知の海」千葉市美術館(千葉 2021年)、「百年硝子の海」千葉市民ギャラリーいなげ(千葉 2021年)、「コールドスリープ」(千の葉の芸術祭 2021年)。
主なグループ展に、「第5回写真1_WALL」ガーディアン・ガーデン(東京 2011年)、「INDEPENDENT LIGHT vol.01」新宿眼科画廊(東京 2012年)、「INDEPENDENT LIGHT vol.03」東川町国際写真フェスティバル(北海道 2013年)、「西根ナーレ2014」(山形 2014年)、「中之条ビエンナーレ」(群馬 2015年、2017年)、「創造海岸いなげ展」千葉市民ギャラリーいなげ(千葉 2017年)。