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©Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center
石元泰博氏は日本を代表する写真家であり、世界的に著名な写真家です。石元氏が半世紀を越えてこれまでに撮影してきた作品は多岐にわたりますが、なかでも、カラーの多重露光のシリーズはライフワークとして、半世紀にわたり毎年冬になると制作されてきました。これらの作品の一部は写真集「めぐりあう色 とかたち」として昨年発刊され、カラーの多重露光の作品を初めて目にした方も多いことと思います。
カラーの多重露光の作品は、ロールフィルムを入れた6×6のカメラで葉を落とした樹木や建造物のシルエットを撮影し、そこに色を重ね合わせて作られています。1973年から竹中工務店の季刊PR誌『approach』の表紙を飾ってきました。いくつかのポジからプリント上に合成した画像ではなく、 フィルムのひとつのコマに何度か露光することで、作者も思いも寄らない色とかたちが浮かび上がってきます。「暗室で操作して作り出すのとは違い、多分に偶然が作用するが、そこが写真の面白さだと思っている。」と氏は語ります。あくまでも写真にこだわりながらも、出来上がった作品は写真の世界を超えて、モダ ンアートの極みとなっています。天からの贈り物のような色鮮やかな、まばゆいばかりの色とかたち。偶然ともいえる出会いが、石元氏の遊び心をも反映してい ます。これらの作品は、「調和のとれた美」の作品を世に生み出してきた石元氏の、他に類を見ないきわめてユニークな作品といえるでしょう。
今回の展示は、高知県立美術館のご協力を得て、氏のライフワークであるカラーの多重露光の作品から50余点を展示いたします。石元氏の「美の世界」を感じることのできる展覧会です。
石元 泰博(いしもと やすひろ)
1921年サンフランシスコ生まれ。1924年から39年まで高知で過ごす。1939年単身渡米。シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称 ニューバウハウス、後にイリノイ工科大学に編入)写真科に学び、1952年卒業。1953年帰国。1958年から61年まで再びシカゴに滞在。1969年 に日本国籍を取得。以後、日本を拠点として制作を続けている。平成8年度文化功労者。
「シカゴ」や「東京」を捉えたシリーズ、そして「桂離宮」、「曼荼羅」、「伊勢神宮」などの作品で知られる。高知県立美術館、シカゴ美術館、ヒューストン美術館、東京国立近代美術館、東京都写真美術館などに作品がコレクションされている。
PGI Exhibitions
2012年 | 「シカゴ, シカゴ」 |
2011年 | 「両界曼荼羅」 |
2009年 | 「色とかたち」 |
2008年 | 「東京」 |
2007年 | 「シブヤ、シブヤ」 |
2006年 | 「On The Beach」 |
2005年 | 「シカゴ 1966」 |
2003年 | 「桂離宮」 |
2001年 | 「顔」 |
1998年 |
「KATSURA」 |
1998年 | 「水と人のながれ」 |
1997年 | 「シカゴ時代」 |
1996年 | 「色と遊ぶ」 |
1995年 | 「雲、紙、雪のあしあと, 伊勢神宮」 |
1992年 | 「落ち葉とあき缶」 |
1989年 | 「桂」 |
1988年 | 「花」 |
1986年 | 「街 ひと かたち」 |
1983年 | 「山の手線 29」 |
1983年 | 「シカゴ、シカゴ II」 |
1982年 | 「ある日ある所」 |
1982年 | 「シカゴ、シカゴ」 |