濱田祐史

Incidence and Reflection

2022.12.1(木) - 2023.1.28(土)
冬期休廊:12.24-1.4
PGI

濱田祐史

Incidence and Reflection

2022.12.1(木) - 2023.1.28(土)
冬期休廊:12.24-1.4
PGI

  • S邸のテラスから
    ©Yuji Hamada

  • 裏門のパンチングメタル
    ©Yuji Hamada

  • 授業の合間の窓
    ©Yuji Hamada

  • Centre Projectのファサード
    ©Yuji Hamada

  • コンビニエンスストアのファサード
    ©Yuji Hamada

  • 電話マーク
    ©Yuji Hamada

  • 我家からの眺め01
    ©Yuji Hamada

 

年末年始 冬期休廊

2022年12月24日(土) 〜 2023年1月4日(水)

 


濱田祐史の最新作となる「Incidence and Reflection(入射と反射)」を展示いたします。

 

濱田は、『Primal Mountain』、『photograph』をデビューに、継続して作品を発表しています。2015年から取り組んでいる色をテーマにした作品では、ユニークな手法を用いて、写真という平面のメディアにおける色や形、画像の考察を行ってきました。デビュー以来、視覚によって左右される認識のポテンシャルに興味を持ち、工業製品としての写真の多様な表現機能に根ざしたパフォーマティブな制作を続けています。

 

現代の版画で使用されているPS版(Pre-Sensitized Plate)というアルミの版には、塗布されたフォトレジストという組成物に紫外線が反応し硬化することでネガ像やポジ像の版ができるという特性があります。本作ではこの特性を利用し、紫外線の結ぶ像を捉えています。

初期作品「photograph」は、長時間露光で煙を使用し、普段私たちが目に見ることのない光の存在を可視化しようという作品でした。本作「Incidence and Reflection」では同じように光をモチーフにしていますが、PS版を使用して紫外光によって写し出すことを試みており、「『photograph』の時とは違う光を見ることができるような気がした」と語っています。

 

具体的には、8×10や4×5、6×6など中判から大判のサイズに切り出したPS版をフィルムの代わりにカメラにセットし撮影するという方法です。

使い慣れたフィルムでの撮影とは条件が大きく異なり、晴れた日でも90分以上の露光が必要で、また、色の濃い被写体は紫外線の反射率が低いために露光されず、仕上げのプロセスにおいて黒く潰れてしまうこともあったと言います。

自身の撮影の経験値から、写るとわかっているものが紫外光では写らないという新鮮な驚きを得て、あえて「写真に写った光景」を想像し得る、自身の行動範囲に限った風景の撮影を重ねました。

撮影を続ける中で、カメラに版をセットする反射光だけでなく、フォトグラムの手法をヒントに街中のサインやポスターなどに直接PS版を当てることで、被写体に当たる入射光でも撮影を行いました。

 

「絶句するほど長い露光の間、目の前の風景が紫外光によって版にどう焼き付いていくのかを想像し(中略)、写真の黎明期にニエプスがヘリオグラフィを発明したのは、リトグラフから着想を得ていたということ(中略)に想いを巡らせた。作品を仕上げるにあたって、版画の技法に基づき版にインクを乗せて紙に刷ってみた。しかし、この作品にとって重要な要素が抜け落ちてしまうことに気づいて、版そのものを展示することにした。」

 

本展ではこのアルミ版に露光された作品、およそ60点をご覧いただきます。

 

 

Incidence and Reflection

 

 2020年の夏、縁あってオフセット印刷やリトグラフに使用されているPS版(Pre- Sensitized Plate)と出会った。写真集の刷り出しの立ち会いの際には何度も目にしていたし、出版物の副産物としてその版を展示したこともあったが、当時はそれが「PS版」と呼ばれていることや、その特性にまでは意識が及んでいなかった。今回のシリーズ「Incidence and Reflection」は、このPS版の紫外線に反応する特性を知ったことがきっかけとなり制作を始めた。目には見えないけれど、太陽から確かに届いている紫外光によって現れる像を見てみたくなったのだ。

 

 紫外光による撮影は、普段の撮影とは異なり、露出という概念がないらしい。絶句するほど長い露光の間、目の前の風景が紫外光によって版にどう焼き付いていくのかを想像しながら時間をやり過ごす。そのうち、写真の黎明期にニエプスがヘリオグラフィを発明したのは、リトグラフから着想を得ていたということが想起され、200年という大きな時間に想いを巡らせた。

 

 作品を仕上げるにあたって、版画の技法に基づき版にインクを乗せて紙に刷ってみた。しかし、この作品にとって重要な要素が抜け落ちてしまうことに気づいて、版そのものを展示することにした。

 紫外光によって焼き付いた像が、現像を経て浮かび上がってくる過程に純粋な喜びを感じ、薄いアルミの板がまるで日光浴をした後の皮膚のように熱を帯びとどまっている、その様に美を感じている。

 

濱田祐史

濱田 祐史(はまだ  ゆうじ)

1979 年大阪府生まれ。2003年、日本大学芸術学部写真学科卒業。東京を拠点に活動し国内外で作品発表をしている。

『Primal Mountain』、『photograph』をはじめとし、継続して作品を発表しています。2015年から取り組んでいる色をテーマにした作品では、ユニークな手法を用いて、写真という平面のメディアにおける色や形、画像の考察を行ってきました。デビュー以来、視覚によって左右される認識のポテンシャルに興味を持ち、工業製品としての写真の多様な表現機能に根ざしたパフォーマティブな制作を続けています。

主な個展にPGI(東京)にて「Pulsar + Primal Mountain」(2013)、「C/M/Y」(2015)、「Broken Chord」(2017)、「R G B」(2018)、「  K   」(2019)、ミュンヘンのGALLERIE f 5.6にて「photograph」、「Primal Mountain」(2016)がある。

スイスのフォトフェスティバル Images(2014)、 フランスのエクス・アン・プロヴァンスフォトフェスティバル (2015)、モロッコのマラケシュ国際フォトフェスティバル(2019)などに参加。

主な写真集に、 印刷技術も写真表現のひとつとした写真集『C/M/Y』(Fw:books、2015)、スイスに滞在して雪山登山の過程の記録を落ちている枝のみを撮影し制作した『BRANCH』(lemon books、2015)、『Primal Mountain』(torch press、2019)がある。