-
©SATO Shintaro
佐藤信太郎は東京の街を撮り続けている写真家です。大都市東京は魅力あふれる街であると言われています。狭い地域であるにも拘らず、途切れることなく家や商店が軒を連ね、集合住宅が建ち並び、また、ビル街には古い建物がひしめき合い、そして次々に建設された高層ビルが姿を現しています。古いものと新しいものが混在する街は、実に様々な顔をみせてくれます。この東京で、佐藤が特に好んで取り組んでいるのが、夕暮れから夜にかけて光りの中に現れる街の撮影です。
陽が落ちて家々に灯りがともる頃、自然光と人工光が混じり合う時間帯があります。この光りの中で、「新しいものと古く黄昏れていくものが同時にうごめき、常にあいまいな生成状態にある都市が最も美しく姿を現すように感じる」と佐藤は語っています。刻々と移り変わる光りによって姿を現す東京。夕刻と夜のはざまの時間であり、同時に、人々が生活する居住地域と商業地域が混ざり合った場所。その中間的な時間と空間の広がりが、肉眼を超越した、とてつもない深度の深さをもって姿を現しています。佐藤によって捉えられた東京は、必要に迫られて作り上げられた雑然とした街並でありながら、美しい形となってその姿を現しています。止まることを知らないかのように増殖していく巨大なエネルギーを秘めた大都市東京、そこに集りそして生活する人々の存在と活力が混ざり合って、絶妙なバランスが保たれているこの東京の姿を、私たちは佐藤の写真によって新たに知ることになるでしょう。
本展では、2002年から2008年まで撮り続けて来た下町や新宿などのカラー作品30余点を展示いたします。
佐藤 信太郎(さとう しんたろう)
1969年東京都生まれ。1992年東京綜合写真専門学校卒業。1995年早稲田大学第一文学部卒業。共同通信社に入社。2002年フリーラン スとなる。個展:「夜光」コニカプラザ(1998年 東京)、「非常階段東京」ギャラリー・ル・デコ(2004年 東京)、「Twilight Zone」フォト・ギャラリー・インターナショナル(2005年 東京)。主なグループ展:アサヒ・アート・フェスティバル2006「Tokyo East Perspective写真展 墨東写真」(2006年 東京)、「Between Reality and Illusion」マーティー・ウォーカー・ギャラリー(2007年 ダラス アメリカ)。作品は清里フォトアートミュージアム(北杜市)でコレクションされている。
PGI Exhibitions
2019年 | 「The Origin of Tokyo」 |
2014年 | 「夜光」 |
2012年 | 「東京|天空樹 Risen in the East」 |
2008年 |
「Tokyo Twilight Zone –非常階段東京–」 |