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©Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center
石元泰博は日本を代表する写真家であり、世界的にも著名な写真家です。石元氏が半世紀を越えてこれまでに撮影してきた作品は多岐にわたりますが、それらは写真集という形をとって、あるいは写真展という場で発表されてきました。渋谷駅前のスクランブル交差点で信号待ちをする人々の後ろ姿を捉えた最新作 をまとめた写真集「シブヤ、シブヤ」が昨年刊行され、氏のますます鋭敏な造形感覚で撮影されたこれらの作品が写真展において展示されたのも、記憶に新しいところでしょう。
半世紀以上にわたる石元氏の制作活動のなかで「東京」は、氏が日々過ごしてきた生活の場です。学生時代を過ごしたシカゴから1953年に東京に来た氏は、シカゴにおいてそうであったように、東京でも街を歩きまわり撮影を始めました。3年間のシカゴ生活を経て1961年に帰国すると、東京の撮影を再開。「東京」の街は常に氏のレンズの向こうにあり、その時代時代において東京の街とそこに生きる人々、そして街で見たものを撮り続けてきました。
「いろいろな写真も元を正せば人間の営みの諸相をとっているだけであって、撮る側には、何の矛盾も戸惑いもない」と氏は語ります。戦後大きな変貌をとげた東京の街。そして今も変化を続ける東京の街。下町の路地や、看板や、街を歩く人々、ビル街、街中にぽっかりと空いた空間、これらの街で見たものを捉えた氏の写真は、常に現在を受け止め思考する氏の姿が現われています。同時に、飄々とした写真家石元泰博の一面も見せてくれます。1950年代から現在までに撮影された「東京」の写真を一堂に展示することにより、写真で捉え、写真で表現し、写真で思考する氏の生き方をあらためて知ることとなるでしょう。
今回の展示は、1950年代から現在に至るまで東京で撮影されたモノクローム作品約60余点を展示いたします。氏の写真世界を感じることのできる展覧会です。
石元 泰博(いしもと やすひろ)
1921年サンフランシスコ生まれ。1924年から39年まで高知で過ごす。1939年単身渡米。シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称 ニューバウハウス、後にイリノイ工科大学に編入)写真科に学び、1952年卒業。1953年帰国。1958年から61年まで再びシカゴに滞在。1969年に日本国籍を取得。以後、日本を拠点として制作を続けている。平成8年度文化功労者。
「シカゴ」や「東京」を捉えたシリーズ、そして「桂離宮」、「曼荼羅」、「伊勢神宮」などの作品で知られる。シカゴ美術館や東京国立近代美術館、東京都写真美術館、高知県立美術館などで個展が開催されている。
PGI Exhibitions
2012年 | 「シカゴ, シカゴ」 |
2011年 | 「両界曼荼羅」 |
2009年 | 「色とかたち」 |
2008年 | 「東京」 |
2007年 | 「シブヤ、シブヤ」 |
2006年 | 「On The Beach」 |
2005年 | 「シカゴ 1966」 |
2003年 | 「桂離宮」 |
2001年 | 「顔」 |
1998年 |
「KATSURA」 |
1998年 | 「水と人のながれ」 |
1997年 | 「シカゴ時代」 |
1996年 | 「色と遊ぶ」 |
1995年 | 「雲、紙、雪のあしあと, 伊勢神宮」 |
1992年 | 「落ち葉とあき缶」 |
1989年 | 「桂」 |
1988年 | 「花」 |
1986年 | 「街 ひと かたち」 |
1983年 | 「山の手線 29」 |
1983年 | 「シカゴ、シカゴ II」 |
1982年 | 「ある日ある所」 |
1982年 | 「シカゴ、シカゴ」 |