井津 建郎

BLUE

2023.11.22(水) - 2024.1.13(土)
冬季休廊:12/25-1/4
PGI

井津 建郎

BLUE

2023.11.22(水) - 2024.1.13(土)
冬季休廊:12/25-1/4
PGI

  • ©Kenro Izu

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  • ©Kenro Izu

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【お知らせ】本日12/23(土) 16時〜17時半ごろまで、トークイベント開催します。有料催事のため、この時間のギャラリー観覧はできませんので何卒ご了承下さい。尚、ショップは営業しております。

 


 

PGIでは、井津建郎の作品展、「BLUE」を開催致します。

井津建郎は1971年、21歳のときに渡米し、以後約40年以上にわたり、祈りや、人間の尊厳をテーマに発表を続けてきました。

1979年に初めて訪れたエジプトで、人智を超えたものの存在に魅せられ、世界各地の〈聖地〉、石造遺跡や建造物の撮影を始めます。その後もブータンやインドなどを訪れ、人間のうちに宿る神聖を見出し、信仰に生きる人々にカメラを向けてきました。

1983年から始めた14×20インチの超大型カメラによる撮影を始めました。大判フィルムによる精緻な描写と、プラチナ・プリントによる豊かな階調で、聖地に漂う濃密な空気感と尊さが見事に表現されており、世界的に高い評価を得てきました。

時間をかけて対象と向き合い、一枚一枚丁寧に写された井津の作品にはそこに流れる時間と気配が漂い、それは見るものの想像力を掻き立て、我々の感情を揺さぶるのです。

本展で展示する「BLUE」は、聖地での撮影から離れ、ニューヨークのスタジオで撮影されたシリーズです。舞踏ダンサーをモデルに〈存在〉を表現した「Body」と、静物や、枯れた草花に美を見出した「Still Life」から構成された作品は、深い陰影による美が現れています。

改めてページをめくった谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』において井津は、陰影のうちに美を見出す日本人の美的感覚とその重要性に気付かされます。それは、自らのアイデンティティを再認識することでもあり、日本を離れ異国の地で写真家としてキャリアを築いてきた井津にとって、陰影に宿る美への関心に気づくことは、新たな作品制作へのきっかけとなりました。

作品は、作者が敬愛するピカソの「青の時代」(1901年〜1904年)へのオマージュとしてその100年後の2001年から2004年に制作されました。14×20インチの大型カメラで撮影したネガからプラチナプリントを制作し、その上にサイアノタイプの感光剤塗布と露光を数回繰り返すことにより、プラチナによる精緻な描写とサイアノによる深みのある青と独特の質感が現れ、気品に溢れた静けさを漂わせています。

プラチナ・サイアノプリント約20点を展示します。

 

BLUEシリーズの作品は、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』に触発され、またパブロ・ピカソの『青の時代』作品にインスパイアされて、『青の時代』制作のちょうど100年目を意識して、2001年から2004年の間に制作した。

『陰翳礼讃』は学生時代に日本で読んだが、当時それほど感じるところが無かったのが、数十年後アメリカで友人から贈られた英語版を読んで感銘を受けた。おそらくその頃、作品制作や生活の折々に、陰影に美を見ている自身に気づき、日本人としてのアイデンティティを意識し始めたことも大きな要素だと思う。

改めて日本語版を取り寄せて読み、そこに日本の美学の一端を見た。

「掻き寄せて結べば柴の庵なり、解くればもとの野原なりけり」と言う古歌にあるように「東洋人はなんでも無い所に陰影を生じせしめて、美を創造する」ようである。そして「美は物体にあるのではなく、物体と物体の作り出す陰影のあや、明暗にあると考える。」と谷崎は言う。

 

 

ある夜更けにふと目を覚まして入った居間、月の光を浴びて青く輝く花瓶のある空間は、日常の我が家の居間とは異なる、気配に満ちた空間であった。

それは、チベット寺院の仄暗い本堂の奥深く安置され、かろうじて鈍く金色の光を放つ仏像の周りに漂う濃い陰影と、そこから忍び寄る緊張感、そして千年以上の間、祈りを受け続けた聖なる山を包む、あの濃密な空間の陰影とも相通ずる気配であった。

光と影が、その境界を失う一瞬、確かと思った存在さえも闇の中へ溶け去り、その気配だけが残る。

 

井津建郎

 

 


[2023年12月23日(土)] 午後4時 ~  会場:PGI     受付を終了しました。

井津建郎 x 山下智子 (源氏物語語り部) トークイベント

 

井津建郎作品展「BLUE」開催に合わせ、京ことばで源氏物語を語る活動をされている山下智子さんをお招きし、トークセッションを行います。

前作「もののあはれ」制作のきっかけとなった、本作「BLUE」シリーズについて、日本の美についてお話いただきます。

 

 

定員    15 名

参加費  1,100 円(税込)

 

【お申し込み方法】

店頭、Eメール、またはSqaure(下記QRコード)よりお申し込みください。定員に達し次第受付終了いたします。

※お電話でのお申し込みは受け付けておりませんのでご了承下さい。

 

Eメールよりお申し込みの際は件名を「井津トーク」とし、お名前、人数、ご連絡先を明記の上お申込み下さい。

 参加費は当日受付にてお支払い下さい。

 申込先:  MAIL. info@pgi.ac

 

Square でのお申込み。オンライン決済にて参加費をお支払い下さい。

*Squareでチケット購入後のキャンセルにつきましては、イベント前日までにご連絡いただいた場合に限りご返金させていただきます。

 当日のキャンセルはご返金できませんのでご了承下さい。

 

 

 

山下智子(やました ともこ)

京都市出身。仲代達矢主宰無名塾に入塾、俳優としての表現を学ぶ。三島由紀夫近代能楽集「道成寺」「熊野」、こまつ座公演はじめ舞台、TVにて活動した。

2003年より声の表現中心に活動。 国文学者 故中井和子氏に師事、「京ことば源氏物語」の女房語りを通し失われゆく美しい京ことば、やまとの心を後世に伝えるべく東京、京都、神戸、大阪での全五十四帖隔月連続公演をはじめ 廬山寺、石山寺、渉成園 (東本願寺)、円覚寺、各地の劇場、美術館、サロンで語り会をひらく。

2012年、ワルシャワ大学、パリ、ベルンで公演。

2014年、フランス日本文化会館からの招聘を受け、文化会館、イナルコ大学(フランス国立東洋言語文化研究所)で公演。

スイス日本国交150年記念行事でスイス /リヒテンシュタイン 6都市で公演。

源氏物語の他に、文楽人形芝居での語り、朗読劇、詩とダンスのコラボレーション。映像番組のナレーション、電子辞書、大修館書店国文教科書CD、i Podピクセラサウンドブック等での朗読。 NHKラジオドラマに 6年間のレギュラー出演と作品提供。

古典の日推進委員会語り部派遣事業講師、NHK文化センター講師。 2011年京都国民文化祭特命大使。

2019年京都観光おもてなし大使に就任。

2021年CD【紅葉賀】をリリース。

公式サイト

 

 

 


同時開催】

井津建郎写真展「祈りのかたち
11月21日(火) 〜 12月10日(日)
ルーニィー・247 ファインアーツ(東京・中央区)


 

井津 建郎(いづ けんろう)

1949年大阪府生まれ。日本大学芸術学部に学んだ後渡米。以来50年間ニューヨークを拠点として作品制作と発表を続ける。2021年、日本に帰国し、金沢を拠点に活動を再開する。

30数年間にわたってエジプトを始め、ヨーロッパ、中東、アジアの石像遺跡、聖地を14×20インチのカメラで撮影、プラチナプリントによる表現を続ける。1993年にアンコール遺跡撮影のため初めて訪れたカンボジアで、多くの子供たちが地雷の犠牲になっている現実を目の当りにし、非営利団体フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーを設立。カンボジアとラオスに小児病院を建設と運営するなど多くのプロジェクトに携わる。

作品はニューヨーク・メトロポリタン美術館はじめ、アメリカを中心に多数の美術館に収蔵されている。作品集は2017年に「Seduction」、2018年に「Eternal Light」、2020年に「Requiem」、2021年に「Fuzhou -the forgotten land」、2022年に集大成の写真集「Impermanence」など18冊の写真集を出版。