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©Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center
石元泰博は日本を代表する写真家であり、世界的にも著名な写真家です。石元氏が半世紀を越えてこれまでに撮影してきた作品は多岐にわたり、また膨大な数に及びますが、中でもホームタウンであるシカゴのミシガン湖のビーチを捉えた作品は、石元氏の「デザイン」と「空間」という視覚表現の要素を端的に表していると言えるでしょう。
石元氏は1948年から51年にかけての学生時代、1958年から61年までの3年間、そして、1982年の短期滞在の時、と三期にわたりシカゴの作品を制作しています。シカゴに来れば自然とビーチのそばを通り、その度に撮影をしていたと語る氏は、このシリーズでも多くの傑作を残しています。35ミ リカメラ、6×6、4×5をいつも持ち歩き、ビーチでくつろぐ人々やドリンクスタンドで待っている水着姿の人々の脚を撮影しました。
1954年の「U. S. CAMERA」誌に掲載された「SUMMER SPECTACLE」では、後ろから捉えられた水着姿の人の脚の部分のみ14点が、見開き2ページにレイアウトされています。これらは、石元氏自身がもともと6×6で撮影し正方形であった写真を短冊にトリミングしたもので、このアイデアが最初に浮かび、それを制作するつもりで6×6で撮影されたものでした。この作品の明快なものの配置や見せ方は、石元氏のグラフィックデザイン的な写真表現の原点と見ることができるでしょう。その後、石元氏は徐々に、トリミングしないこのままの複数の人の脚が写っている写真もいいのでは、と思うようになり、それらが後に、良く知られる代表作「North Avenue Beach」のシリーズとなりました。
今回の展示は、ビーチでのスナップショットや「North Avenue Beach」など約50余点を展示するもので、初めて公開される作品が数多くあります。石元氏がビーチで捉えた「シカゴ」を再発見するばかりではなく、これらを通して、氏の写真表現の原点を感じることのできる展覧会です。
石元 泰博(いしもと やすひろ)
1921年サンフランシスコ生まれ。1924年から39年まで高知で過ごす。1939年単身渡米。シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称 ニューバウハウス、後にイリノイ工科大学に編入)写真科に学び、1952年卒業。1953年帰国。1958年から61年まで再びシカゴに滞在。1969年 に日本国籍を取得。以後、日本を拠点として制作活動を続けている。 平成8年度文化功労者。「シカゴ」や「東京」を捉えたシリーズ、そして「桂離宮」、「曼荼羅」、「伊勢神宮」などの作品で知られる。 シカゴ美術館や東京国立近代美術館、東京都写真美術館、高知県立美術館などで個展が開催されている。 最新の写真集に「刻 Moment」(2004年出版)がある。
PGI Exhibitions
2012年 | 「シカゴ, シカゴ」 |
2011年 | 「両界曼荼羅」 |
2009年 | 「色とかたち」 |
2008年 | 「東京」 |
2007年 | 「シブヤ、シブヤ」 |
2006年 | 「On The Beach」 |
2005年 | 「シカゴ 1966」 |
2003年 | 「桂離宮」 |
2001年 | 「顔」 |
1998年 |
「KATSURA」 |
1998年 | 「水と人のながれ」 |
1997年 | 「シカゴ時代」 |
1996年 | 「色と遊ぶ」 |
1995年 | 「雲、紙、雪のあしあと, 伊勢神宮」 |
1992年 | 「落ち葉とあき缶」 |
1989年 | 「桂」 |
1988年 | 「花」 |
1986年 | 「街 ひと かたち」 |
1983年 | 「山の手線 29」 |
1983年 | 「シカゴ、シカゴ II」 |
1982年 | 「ある日ある所」 |
1982年 | 「シカゴ、シカゴ」 |