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©Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center
写真家石元泰博(1921−2012)の代表作品として著名な「シカゴ、シカゴ」の作品群は、3つの時代に撮影されています。 1948〜52年のインスティテュート・オブ・デザイン(のちのイリノイ工科大学)在学中、1958〜61年のシカゴ滞在中、1982年の短期取材の3期 に分かれていますが、街や人々を見つめる石元氏のまなざしは時代を経ても変わらずに、研ぎすまされたデザインと映像感覚でシカゴを捉えています。これらの作品は、時代の記録性を超えて、はるかに普遍性をもった表現となっています。
そして、ここにもう一つの「シカゴ」がありました。それは、1966年10月に、1週間をかけてシカゴ中のビルディングを撮影した作品です。アメリカを代表する近代都市、1966年のシカゴの街を眺望するカットの数々です。
これらの写真は、建築雑誌SD(Space Design:鹿島出版会発行)が企画編集した「シカゴ特集:1967年2月号」の取材で撮影されました。すでに1960年代の時点で、シカゴという都市の成長にともない、歴史的に価値あるシカゴ派の建造物が次第に姿を消しつつあったため、シカゴが歩んできた文化と歴史を建造物をとおして振り返り、シカゴ 形成の潜在力、構造がどのようなものであったかを考証する意図のもとに、この特集が企画されました。石元氏の写真を中心にして、19世紀から20世紀にか けてのシカゴに関する文化史とともに編集されています。
撮影取材は、7日間の駆け足の撮影ながら、全行程でのフィルムは35ミリ判97本、そこから選んで焼き出されたプリント はおよそ500枚です。そして掲載されたイメージは140点に及んでいます。これらの建築物を捉えた写真は、こだわりと言って良いほどの、石元氏の関心事がダイレクトに伝わってくるような、生き生きとした写真です。
今回の展示は、1966年に制作されたヴィンテージプリント約60数点を選び出し展示するもので、編集によるトリミングもなく初めて公開される作品ばかりです。石元氏が捉えた「シカゴ」を再発見し、氏と「建築」との接点が伝わってくる展覧会です。
石元 泰博(いしもと やすひろ)
1921年サンフランシスコ生まれ。シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称ニューバウハウス、後にイリノイ工科大学に編入)写真学科に学び 1952年卒業。1969年に日本国籍を取得。文化功労者。「シカゴ」や「東京」を捉えたシリーズ、そして「桂離宮」、「曼荼羅」、「伊勢神宮」などの作品で知られる。最新の写真集に「刻 Moment」(2004年出版)がある。
日本を代表する写真家である。シカゴ美術館や東京国立近代美術館、東京都写真美術館、高知県立美術館などで個展が開催されている。
PGI Exhibitions
2012年 | 「シカゴ, シカゴ」 |
2011年 | 「両界曼荼羅」 |
2009年 | 「色とかたち」 |
2008年 | 「東京」 |
2007年 | 「シブヤ、シブヤ」 |
2006年 | 「On The Beach」 |
2005年 | 「シカゴ 1966」 |
2003年 | 「桂離宮」 |
2001年 | 「顔」 |
1998年 |
「KATSURA」 |
1998年 | 「水と人のながれ」 |
1997年 | 「シカゴ時代」 |
1996年 | 「色と遊ぶ」 |
1995年 | 「雲、紙、雪のあしあと, 伊勢神宮」 |
1992年 | 「落ち葉とあき缶」 |
1989年 | 「桂」 |
1988年 | 「花」 |
1986年 | 「街 ひと かたち」 |
1983年 | 「山の手線 29」 |
1983年 | 「シカゴ、シカゴ II」 |
1982年 | 「ある日ある所」 |
1982年 | 「シカゴ、シカゴ」 |