八木清

ツンドラの記憶

2024.1.17(水) - 2.22(木)
PGI

八木清

ツンドラの記憶

2024.1.17(水) - 2.22(木)
PGI

  • ©Kiyoshi Yagi

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  • ©Kiyoshi Yagi

  • ©Kiyoshi Yagi

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  • ©Kiyoshi Yagi

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PGIでは、八木清の5回目となる個展を開催いたします。

八木は、1994年からグリーンランドやアラスカの厳しい極北の地で、自然と共存するエスキモーやアリュートの生活様式、独特の文化や自然風景を撮影してきました。撮影の現場では、プリントにどう仕上がってくるかと言うことを考えて撮っている、と言う八木にとって、持ち帰ったネガをプリントに仕上げることは「撮影していた当時の自分まで遡及して現在の自身のあり方を思い返すことでもある」と語っています。その体験を通して、これまで『sila』という「大気の精霊」の気配を伝えようと作品を作ってきました。

作品制作とともに、極地探検家で人類学者であるクヌート・ラスムッセンが20世紀前半に採集した、魔法の言葉や古老たちの言葉、伝承や歌を紐解き日本語に翻訳してきました。この度、これらの翻訳をまとめた書籍『ツンドラの記憶――エスキモーに伝わる古事』の刊行に合わせ、エスキモーの言葉と写真を合わせた作品展を開催致します。

写真作品は、オリジナルのネガから作成した拡大ネガを使用し、プラチナパラジウムプリントで仕上げた作品をご覧いただきます。八木は、これまでアナログの工程にこだわりこの方法に挑戦してきました。8×10の大判カメラを使用して撮影された風景や面などの道具は、雁皮紙を使ったプラチナパラジウムプリントによって、その質感が克明に描かれています。また、エスキモーたちの生活によりフォーカスして撮影されたカラー作品『極北への旅 1994-2007』から約10点を合わせてご覧いただきます。

作者により翻訳された言葉の数々は、長い撮影の旅から得た経験と知識によって紡がれる言葉選びにより、写真作品と同じく、彼の地の人々や文化、精神を伝えるものとなっています。

 

本展では、プラチナパラジウムプリント約12点、カラープリント約10点を展示いたします。

 

「はじめに、闇があった。大地も見えなく、生き物の姿も見えなく、すべてが闇の中にあった。それでもなお、世界には人や生き物が暮らしていたが、彼らのあいだに区別はなかった。人間が動物になったり、動物が人間になったりするような、混沌たるありようだった」*

 

 これは極北の狩猟民エスキモーに伝わる創世にまつわる話からの一節である。彼らの伝承や歌、詩には、混沌とした世界を少しでも人間的な領域へ還元しようと奮闘する、いにしえの人々の息遣いが宿る。そんな物語や言説が世代を超えて口承によって伝えられ、彼らの精神世界と文化を形作ってきた。その世界では、あらゆる自然物や生き物、そして精霊たちが、原初の頃よりともに在るものとして了解されているのである。

 荒涼としてあらゆる生命を拒むかのような極北の風景にも有史以前から人間の暮らしがあり、数多の語られざる歴史が秘められている。狩猟民たちのその遠い記憶の一端を、写真と彼ら自身の言葉で紐解く。

 

八木 清

 

*RASMUSSEN, KNUD. (1931). THE NETSILIK ESKIMOS: SOCIAL LIFE AND SPIRITUAL CULTURE (Report of the fifth Thule expedition 1921-24; Vol.8 No.1-2)

 

 

【エスキモーという呼称について】

本展では「エスキモー」という呼称を、カラーリット(グリーンランド)、イヌイット(カナダ)、イヌピアット(アラスカ西部・北部)、ユピート(アラスカ南西部)の総称として用いている。

カラーリット、カナダ・イヌイット、アラスカのイヌピアットらはイヌクティトゥット語を話す同じ民族であるが、地域により呼称が異なるのが実情である。ユピートは、イヌイットらと同じプロト・エスキモー語を源流とする言語を話す民族であるが、ユピート語とイヌクティトゥット語のあいだで相互理解(会話)は成り立たない。

 


【新刊書籍】

ツンドラの記憶 エスキモーに伝わる古事」編訳・写真:八木清

 閑人堂  本体2,420円(税込)

 


 

本イベントは受付を終了致しました。

 

沢山のお申し込み有難うございました。

 

 

[2024年2月10日(土)] 午後4時 ~  会場:PGI

八木清 x 星野直子 (星野道夫事務所代表)  トークイベント

 

八木清作品展「ツンドラの記憶」開催に合わせ、星野道夫事務所代表の星野直子氏をお招きし、アラスカなど極北の自然やそこに暮らす人々をテーマとしてトークセッションを行います。

 

定員    15 名

参加費  1,100 円(税込)

 

【お申し込み方法】

店頭、Eメール、またはSqaure(下記QRコード)よりお申し込みください。定員に達し次第受付終了いたします。

※お電話でのお申し込みは受け付けておりませんのでご了承下さい。

 

Eメールよりお申し込みの際は件名を「八木トーク」とし、お名前、人数、ご連絡先を明記の上お申込み下さい。

 参加費は当日受付にてお支払い下さい。

 申込先:  MAIL. info@pgi.ac

 

Square でのお申込み。オンライン決済にて参加費をお支払い下さい。

【八木清 x 星野直子 トーク】

¥1,100

今すぐ購入する

 

*Squareでチケット購入後のキャンセルにつきましては、イベント前日までにご連絡いただいた場合に限りご返金させていただきます。

 当日のキャンセルはご返金できませんのでご了承下さい。

 

 

 

星野直子(ほしの なおこ)

星野道夫事務所代表

短期大学卒業後、書店に勤務。1993年に写真家・星野道夫と結婚しアラスカでの生活が始まる。撮影にも同行し、フィールドでの時間も共に過ごした。1996年星野道夫が急逝。2000年に星野道夫事務所を設立し、日本とアラスカを行き来しながら作品の管理を務める。

星野道夫HP

 

八木 清(やぎ きよし

1968年長野県生まれ。1993年アメリカ、アラスカ州立大学フェアバンクス校ジャーナリズム学部卒業後、写真家水越武氏に師事すると同時に、極北の先住民族エスキモーとアリュート、そして彼らを取り巻く極北の自然の撮影を始める。
2004年日本写真協会新人賞受賞。2005年準田淵行男賞受賞。

個展「極北の家族~エスキモーとアリュートの肖像~」アイデムフォトギャラリー ・シリウス(2005年 東京)、「エスキモーとアリュートの肖像」(2006年 東京)、「極北への旅1994-2007」PGI(2007年 東京)、「sila」(2011年 東京)、「silat naalagaq シラ・ナーラガ」(2015年 東京)以上フォト・ギャラリー・インターナショナル、グループ展「グレイト・スピリット:カーティス、サルダール=アフカミ、八木清の写真」清里フォトアートミュージアム(2011年 山梨)、写真集「sila」2011年 フォト・ギャラリー・インターナショナルより刊行。