竹之内 祐幸

The Fourth Wall / 第四の壁

2017.11.1(水) - 12.22(金)
PGI

竹之内 祐幸

The Fourth Wall / 第四の壁

2017.11.1(水) - 12.22(金)
PGI

  • ©Hiroyuki Takenouchi

  • ©Hiroyuki Takenouchi

  • ©Hiroyuki Takenouchi

  • ©Hiroyuki Takenouchi

  • ©Hiroyuki Takenouchi

  • ©Hiroyuki Takenouchi

  • ©Hiroyuki Takenouchi

 

竹之内祐幸は1982年東京生まれ、2008年日本大学芸術学部写真学科卒業後、写真家として本格的に活動を始めました。

 

これまでLiberty City(P.G.I.)、SEASONS(Foil Gallery)、 鴉(P.G.I.)、と作品を発表してきた竹之内は、都市の風景、花や草木などの自然、身の回りの何気ない日常、様々な友人たちなどといった被写体を、真っ直ぐな視線で見つめることにより、幼少期に感じた孤独や疎外感、画一的なものの見方への違和感や疑問に対し、多様性とは何か、不自然さとは何かを問いかけ、物事の奥に潜む本質を露わにしようとしてきました。

 

幼少期、両親が共働きのため、家で一人過ごすことが多かった竹之内は、その孤独感や疎外感、また、そうした自分の弱さを悟られないよう振る舞い、他者との壁を作っていた、といいます。

そうした中で手にしたカメラは、多くの人がそうであるように、竹之内を他者と結びつける道具となり、自分本来の姿を表現する方法を見出していきます。

 

「写真を撮っているときでも、過去や今、これからの『自分』について考えていたけれど、いつのまにか写真を撮っているときだけ自分のことについて考えなくて済んでいることに気づいた」と語っているように、無心となって写真を撮り、身の回りのものを一つ一つ丁寧に見つめていくことにより、自分の弱さを他者に悟られないよう振る舞う、強がる自分、他者からの視線に怯える自分、から解放され、竹之内の内面から溢れた柔かな視線と鋭い観察眼により、被写体の魅力を十分に引き出し、全てのものが等価で、そこに存在することの美しさを炙り出しています。

本展は、大学在学中から近年まで撮りためた作品の中から、新作を中心に約35点を展示します。

 

また、会場では、11月下旬にT&M Projectsより刊行予定の同名タイトルの写真集を、展覧会に合わせ先行販売致します。

小さい頃、誰もいない家の玄関から自分の部屋までのたった数歩の距離が怖くて、おもちゃやマンガをところどころに置いていた。それでも家にいるのが怖くて、親が帰ってくる時間まで近所をぐるぐるとひとりで遊んでいた。その辺の草や小さな虫達が、マンガの世界みたいに喋り出したらいいのにと思っていた。

 

家族旅行で写真を撮ると、上手だねと褒められて嬉しかった。写真は、大きなものも小さなものも、手のひらにおさめることができて面白いと思ったし、人見知りの僕でもカメラを持つとなぜか心強く思えた。写真を撮っていると、自分の中の苛立ちや残酷さ、孤独感がだんだん静まってくるのがわかった。そして、「自分」について考えながら写真を撮っていたつもりでも、気がつくと僕は写真を撮っている時だけ、「自分」について考えなくて済むことに気づいた。もしかしたら僕は、他者に対しての「自分」から解放されたくて写真を撮っているのかもしれない。それが本当の自由だとしたら、写真は僕にとって他者と自分の壁を超えるものになると思った。

 

行き先を決めずに、とにかくどこかに行って写真を撮ることを繰り返していた。いろんなところを歩いているつもりが、自然と足が土手や川や住宅街など、自分が生まれ育った環境に近い景色に向かうことが多かった。汗だくになりながらカメラを持って歩き回っているうち、季節は一週間で大きく変わることを知ったり、綺麗な景色をファインダーで覗きながら、いつでも答えは目の前にあるんだと気づいた。たまに人間を怖れないカラスや、小さな生き物に出会えることもあった。彼らはきっと自然界では「外れた」存在なのだろうけど、僕も彼らのように、世界から外れたところにいるのかもしれない。そして小さかった頃の僕と少しも変わらぬ視線で彼らを見つめながら、その時は気づかなかった気持ちや、僕と同じように生きづらかった人たちのサインを思い出していた。

 

竹之内祐幸

 

第四の壁………現実世界とフィクションである演劇内の世界を隔てる、想像上の壁のこと。観客はその壁を通して

           舞台上での世界を観ている。

 

 

写真集

[The Fourth Wall / 第四の壁]

B5 | 130頁 | 上製本

デザイン: 鈴木千佳子
発行: T&M Projects

価格:5,000円 + 税

 

<トークイベント> →  2017年11月18日(土) 16:00〜  @PGI

竹之内祐幸 x 伊藤貴弘(東京都写真美術館学芸員)(予定)

東京都写真美術館学芸員の伊藤貴弘氏をお招きして、本作を中心に竹之内作品の魅力を紐解いていきます。

定員       30 名
参加費    500 円(要予約/当日お支払い下さい)

 

申込み方法: 電子メール、またはファックスにて下記申込先までご連絡下さい。

お申し込みの際は件名「竹之内トーク」とし、お名前、ご連絡先を明記の上お申込み下さい。

申込先: MAIL. info@pgi.ac

     FAX.  03-5114-7936

 

<伊藤 貴弘>

東京都写真美術館学芸員。1986年東京生まれ。武蔵野美術大学美術館・図書館を経て、2013年より東京都写真美術館に学芸員として勤務。主な企画展に「長島有里枝 そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」展、「いま、ここにいる―平成をスクロールする 春期」展など。

 

関連展覧会&トークイベント
「The Fourth Wall / 第四の壁」

 →  2017.11.3(金・祝) - 11.19(日)  @book obscura

「トークイベント」

 → 2017年11月19日(日) 16:00〜  竹之内祐幸 x 土屋仁応 (彫刻家)  @book obscura

   彫刻家の土屋仁応氏は竹之内が10代の頃から付き合いがあり、竹之内の写真をずっと見続けてきました。

   竹之内の人柄から作品の細かなところまで知る土屋氏が本作を中心に竹之内作品の魅力を紐解いていきます。

 

book obscura

竹之内 祐幸(たけのうち ひろゆき)

1982年、東京生まれ。2008 年に日本大学芸術学部写真学科を卒業し、同年第31回キヤノン写真新世紀佳作受賞。2009年、塩竈フォトフェスティバル特別賞受賞。

主な個展に「SEASONS」Foil Gallery (東京・2010年)、「鴉」フォト・ギャラリー・インターナショナル (P.G.I.) (東京・2015年)、「Things will get better over time」Gallery Trax (山梨) / Studio Staff Only (東京) (2017年)

写真集に『The Fourth Wall / 第四の壁』 T&M Project (2017年11月下旬刊行予定), 『Things will get better over time』 FUJITA (2017)

 

 

 

PGI Exhibitions

2015.3.4 4.28
2009.5.15 6.13 グループ展「Making, Marking, Mapping」にて「リバティ・シティ」出品