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©Yuki Shimizu
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【対談:清水裕貴 x 光田由里】アーカイブとしてアップしました。
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見えない水と、古い土地についての物語。
幼い頃に遊んでいた公園の隣には、謎めいた広大な草地があった。
用水路とフェンスに阻まれ、遠くから眺めることしかできなかったけれど、
そこは細い水路の終着点になっていて、稀に水が溢れると大きな池になるらしい。
住宅街の中の見えない池、警告灯、それらの傍に佇む公園の風景を、写真と言葉で構成する。
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PGIでは初めてとなる、清水裕貴の個展を開催いたします。
清水は、写真と言葉を組み合わせ、架空の世界を構築し、表現することにチャレンジしています。2011年に第5回1_WALLグランプリ、2016年には三木淳賞を受賞した気鋭の作家です。
写真家であり、小説家でもある清水裕貴は、場所や土地固有の歴史や伝承のリサーチをベースに、フィクションの構造を用い、写真と言葉を組み合わせて表現しています。
本作「Empty park」は、作者が子供の頃に住んでいた街の、大きな公園にまつわる作品です。公園の奥の、背の高い葦や大きな木々に阻まれ誰も近づかない場所。「知らない人にはついて行ってはダメ」「『へんなところ』へ行ってはいけません」という近しい人からの言葉が脳裏をよぎるけれども、密やかな憧れと怖さの入り混じった不思議な感情をいだく、誰しもが記憶のどこかに残している場所。そういう不思議な場所が被写体となっています。
清水は、約20年ぶりにその場所に足を運び、市役所の都市計画課や資料館で、この土地の歴史と成り立ちの聞き取りを行い、この場所が大雨の際の調整池として機能していると知ります。地図で確認すると、草地に細い川が流れているらしい、しかし、目で確認することはできません。子供の頃の「へんなところ」は、「見えない水」と「古い土地」、つまり写真には写らない風景として、写真家である作者を捉えて離さない新たな魅力を持って目前に広がります。
普段は水は溜まっておらず、地図で確認すると、草地に細い川が流れているらしいけれど目では見えない。
大雨になると広大な草地に水が溜まって、大きな池になるらしい。
公園の台地の縁から、調整池を一望できるところがある。金網があって、先には進めないようになっており、金網の前に警告灯が立っている。水位が高くなると赤く明滅するらしい。
市役所の都市計画課の人に聞いてみたら、警告灯の存在は把握しているけれど見たことがないという。公園の管理人さんは、何年か前の嵐の日に誰か見たかもしれない。見てないかもしれない、というぼんやりしたことを言っていた。
警告灯は自動的につくので誰がつけるわけでもなく、記録を取るきまりもないので、いつ警告灯がついたのか誰も知らない。
ここ二十年で公園の周りには新しい道路が作られて、新しい住宅街ができて、新しい住人がやってきて、明るい灰色の現代的な「郊外の街」ができている。けれども古い土地の古い水は静かに巨大な空き地に横たわり続けていて、雨の日は人知れず大きな池になっているらしいのだ。警告灯しか知らない。 (清水裕貴作品メモより)
清水は、2012年のデビュー以来、常にテーマとしてきた、「風景を撮り、作品にすること」の意味を改めて考えています。どんなに見つめても消え去り、永遠に完成しない風景に向かって、「瞬きの合間に立ち現れる幻を捕まえる」ようにシャッターを押すことで、光を写真に固着しながらも、「いつも時間に置き去りにされる」と語っています。多くの写真家が抱えるこうした過ぎ去る時間へのジレンマが、清水に白昼夢のような言葉を見つけさせているのかもしれません。そうして紡ぎ出された言葉は、清水の写真の細部を繋ぎます。作品を見る私たちは、写真に写った「見えない水」と、「古い土地」を、作者の紡ぐ言葉に案内され、時に自らの物語として、清水の作品の世界を追体験します。
本展では、デジタルピグメントプリント作品を展示いたします。
<トークイベント>
清水裕貴 x 光田由里(写真評論家・DIC川村記念美術館学芸員)
11月8日(金) 19:00〜 要予約
申込: | メール又はFAXにて、件名を「清水イベント」とし、お名前、ご連絡先を明記の上お申込み下さい。 |
申込先: | MAIL. info@pgi.ac FAX. 03-5114-7936 |
<同時開催>
「Birthday beach」 at nap gallery
10月16日(水) – 11月23日(土)
休廊 : 11月3日〜11月12日
営業日: 水・木・金・土 12:00–18:30 *日曜日は予約のみ
<イベント> ”作品を「読む」パーティ”
11月23日(土) 要予約 詳細はnap galleryウェブサイトで
清水 裕貴(しみず ゆき)
1984年千葉県生まれ。2007年、武蔵野美術大学映像学科卒業。2011年、第5回写真「1_WALL」グランプリ受賞。2016年、第18回三木淳賞受賞。小説家として2018年、新潮社R18文学賞大賞受賞。土地の歴史や伝承のリサーチをベースにして、写真と言葉を組み合わせて風景を表現している。近年は小説も発表。2019年、船橋に予約制ギャラリーtide/poolをオープン。
主な個展に「ホワイトサンズ」ガーディアン・ガーデン (東京 2012年)、「mayim mayim」NEW ACCIDENT (金沢 2014年)、 UNDO (東京 2014年)、「熊を殺す」ニコンサロン (東京 2016年)、「わたしの怪物」Kanzan Gallery (東京 2018年)、「地の巣へ」ニコンサロン (東京 2019年)、「誕生日の海岸」 (千葉 2019年)。主なグループ展に、「第5回写真1_WALL」ガーディアン・ガーデン (東京 2011年)、「INDEPENDENT LIGHT vol.01」新宿眼科画廊 (東京 2012年)、「INDEPENDENT LIGHT vol.03」東川町国際写真フェスティバル (北海道 2013年)、「西根ナーレ2014」 (山形 2014年)、「中之条ビエンナーレ」 (群馬 2015年、2017年)、「創造海岸いなげ展」稲毛市民ギャラリー (千葉 2017年)。