竹之内 祐幸

距離と深さ

2020.8.26(水) - 10.10(土)
PGI

竹之内 祐幸

距離と深さ

2020.8.26(水) - 10.10(土)
PGI

  • ©Hiroyuki Takenouchi

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竹之内祐幸インタビューをupしました!(2020.10.3)

 

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これまでLiberty City(P.G.I.)、鴉(P.G.I.)、Things will get better over time(Gallery Trax)、第四の壁(PGI)、「距離と深さ」(Studio Staff Only)と作品を発表。都市の風景、花や草木などの自然、身の回りの何気ない日常、親しい友人たちなどを被写体とし、暗黙裡に共有されているルールに隠された物事の奥に潜む本質を露わにしようとしてきました。孤独との対峙や社会との距離の認識といった、見落とされがちな、個人が身につけている身振りを作品において浮かび上がらせることで、多様性、同一性とは何か、を問いかけています。

 

本作「距離と深さ」は友人からポートレートを撮ってほしいと依頼されたことがきっかけになった作品です。遠く離れた場所に行ってしまう恋人に送りたいから、と頼まれた竹之内は、自分だったらどんなアルバムを作るだろう、様々な場所で撮った風景から小さな小石のような誰かにとってはほんの些細なものまで、ひとつの世界に感じられるようなアルバムが作れたら、と考えました。

 

本展は5月に開催予定でしたが、COVID-19による緊急事態宣言を受け、今秋の開催と相成りました。奇しくも私たちはコロナ禍の生活で、物理的にも精神的にも他者との「距離」について考えざるを得ない経験をし、緊急事態宣言解除後の今も引き続きそうした時間を過ごしています。画面上に見えていても触れることはできない、届けることができないもどかしい経験は、情報伝達の発達した現代に慣れた私たちに、想像していなかったショックをもたらしました。竹之内にとっても、想像ではなく実際に遮断された生活を送ることでこの作品に対する思いを新たにするところもあったでしょう。

コロナ禍での生活で撮影した撮り下ろしの新作も交え、アーカイバルピグメントプリント約70点を展示いたします。

 

カラスをずっと撮っていた頃、いつか白いカラスを撮りたいと思っていた。白いカラスが保護されていると聞いて、真冬の新潟に撮りに行った。檻の中で退屈そうにしているカラスは、カメラを向けてずっと覗き込んでいても警戒することなく、自分はカラスと心が通いあったような気がしていた。数年後、今度は夏に行ってみると、カラスは二羽になっていた。以前と違って今度は檻の中を覗くだけで暴れて逃げるようになっていた。仲間が増えたことで、自分と人間との違いに気付いて、人間が怖くなったのかもしれないと思った。カラスを同じ世界の仲間として撮るのではなく、遠くからそっと見守るように、檻の隙間から撮影した。

 

友人に、離れ離れになってしまう恋人との写真を撮ってほしいと頼まれた。一緒にいた時間を忘れないように、アルバムにして渡したいと言われて、自分だったらどういうアルバムを作るだろうと考えていた。いろんな場所で撮った小石や動物や風景が、まるでひとつの世界に感じられるようなアルバムが作れたら、壁の向こうにある知らない世界や、新潟の白いカラスに、遠く離れていてもどこか深いところで繋がっていることを伝えられる気がした。

 

竹之内祐幸

竹之内 祐幸(たけのうち ひろゆき)

1982年、東京生まれ。2008 年に日本大学芸術学部写真学科を卒業し、同年第31回キヤノン写真新世紀佳作受賞。2009年、塩竈フォトフェスティバル特別賞受賞。

主な個展に「SEASONS」Foil Gallery (東京・2010年)、「鴉」フォト・ギャラリー・インターナショナル (P.G.I.) (東京・2015年)、「Things will get better over time」Gallery Trax (山梨) / Studio Staff Only (東京・2017年)、「第四の壁」PGI (東京・2017年)、「距離と深さ」Studio Staff Only (東京・2020年)。

写真集に「距離と深さ」 FUJITA (2020年)、「The Fourth Wall / 第四の壁」 T&M Projects (2017年)、「Things will get better over time」 FUJITA (2017年)。

 

 

PGI Exhibitions

2017.11.1 12.22 第四の壁
2015.3.4 4.28
2009.5.15 6.13 グループ展「Making, Marking, Mapping」にて「リバティ・シティ」出品