三好 耕三

On the Road Again

2017.9.5(火) - 10.28(土)
PGI

三好 耕三

On the Road Again

2017.9.5(火) - 10.28(土)
PGI

  • ©Kozo Miyoshi

  • ©Kozo Miyoshi

  • ©Kozo Miyoshi

  • ©Kozo Miyoshi

三好耕三は、1970年代に写真家としてのキャリアをスタートさせ、1981年から8×10インチ判の大型カメラでの撮影を始め、2009年からは16×20インチの超大型カメラによる撮影を続けています。

これまで数多くの作品を生み出してきた三好は、1980年代に「Innocents 天真爛漫」、「Picture Show 傍観」、「Conservatory 温室」、など日本人や日本の原風景を捉えた作品を発表した後、90年代には5年間、アリゾナ州ツーソンに滞在し、「Southwest」、「Chapel」、「CACTI」、「Air Field」、などの作品を発表、綿密な描写による独自の写真世界を広げていきました。

 今回発表する「On the Road Again」は、三好が1997年に発表した「In the Road」の続編となります。

前作「In the Road」はアメリカ滞在中の1993年から4年の歳月を費やし、シカゴからロサンジェルスに至るルート66をロード・トリップしながら捉えた旅の記録であり、旅行者としてではなく、そこに暮らす人間としての視線、視点で、過去と未来の記憶が交錯する中に自分自身を投影したものでもありました。

 その「In the Road」の発表から10年が経った2007年に撮影を始めた本作は、毎年のようにアメリカを訪れ、数週間、1ヶ月と限られた時間の中でロード・トリップを幾回も重ね、目的地から目的地へと車を走らせてきた旅の記録である。自分自身にとって『ロード・トリップはメディテーション(瞑想)』と語る三好は、撮影を繰り返しながら『何か』を探し求め、車を走らせてきた。旅行者として時間的な制約がありながら今回の三好の作品からは、しがらみが消え、解き放たれたような自由さを感じることができる。それは繰り返されたロード・トリップの末に辿り着いた境地の顕れであると言えるだろう。

 なぜロード・トリップに出かけるのか、自問もすることも多々あった。 ロード・トリップはメディテーション。ただフロントガラス越しの視界と対峙して、最低限の約束を肝の片隅に預けおき、あとは確かと座するだけ。出かけた頃は周りのしがらみ見え隠れ、その時分の視界は日常と非常の情景が35mmのスナップのようで面白い。時間と距離の重なりが、上手い具合に織りえたら、その時点で合間の時空に捩れ込む。幾多の作法はあるけれど、一番の手前勘は二十幾余の引き出しを開けては覗きまた戻す。これが私のお手前で、これが私のメディテーション。ドライビング・ハイとは違うのだ。当初の頃は目的地を目指しても、目指したものが目的地でないので、到達しても目指したものが思い描いていたものとかけ離れていると思い込み、目指したものに眼もくれず、次の目指すものに突き進んでいく。耐久時間が数週間、1ヶ月と長くなるとこの有様は達磨如きの様相だ。しかし最近のロード・トリップは時と共に様相も変わってきた、それにつれ自分もそれも変わって来た。以前の旅では目的地は副産物だった、近頃は副産物としてでなく、目的を果たすようになって来た。しかし本当の目的は何かを探しに、繰り返し、繰り返しRoad Tripに出ることだ。Again and Again and Again. 今日があるのは今日だけだ。 

昨日、遅めの午後に降り立った北西部の街から州間道路を数十マイル南に向かい、その街の郊外のロードサイドに幾つかの馴染みの名のあるモーテルから8の看板のモーテルに部屋をとった。三脚を使わない写真機を使っていた時分は、降り立った飛行場から即旅が始まり、最初の日から数百マイルもの先の彼の町まで何かに急かされ、韋駄天に取り憑かれたように、移動してしまったものだ。いくら走っても走り尽くせない大平原、真っ赤に染め上がる夕焼け、昼間の大地の温もりを背中に感じて仰ぎ見る満天の星空に架かる天の川。何がそうさせたのか、若さや体力だけではないはずだ。一時でも早く見知らぬ場所や、見知らぬ時間を見つけたく、ただひたすら馬車馬のように突っ走るしかしょうがなかった時期だったような気がする。今ではあの時分の行動や振る舞いが佳きも悪しきも、現心の事なので心底それが懐かしい。二度寝の夢心地の中、遠くに聞こえる貨物列車の入れ換えの連結器の重なる響きで目が覚めた。ペイズリー模様の厚手のカーテンからは乾いた朝の光が溢れている。今朝は遅めの朝食だ。点滅の信号機が一つある一筋だけの商店街の角にある、程よいカフェでオーバーイージーとベーコンで。勿論、目覚めの感触には慌てさせるくらいの重さのマグカップはデコラのテーブルに着いた時、「おはよう」の挨拶と一緒に鎮座する。そして私の最後の晩餐はグリーシースプーンのメニューと決めている。大きなノブを回して出た外は、すでに大分陽は昇っていた。すでに州間道路からは外れていて、瞬く間に草原を黒いアスファルトが切り裂くような、いつもの慣れ親しんだ景色に吸い込まれて行く。遥か彼方に、まだ頂に残雪が残る山脈が、女性の仰向けのシルエットで心なしか揶揄いの体で横たわっている。その山懐に続くその道は私のロード・トリップには、程良い時空移動の道程だ。この山を大きくS字に登りきった峠から、さらに町らしき町がない荒野を百二十マイル西に進んだその先に、この旅の最初の副産物の場所がある。Topaz Internment Camp Site.

 

三好耕三

 

定員に達しましたので受付け終了いたしました。

 

<トークショー>

三好耕三 x 島武実 x 永井誠治 トークセッションを行います。

 
何度も三好耕三さんと共にアメリカへ旅をしている縁の深いお二人をお招きし、今回の作品についてや旅のエピソードなど幅広くお話しいただきます。
 
日時       2017年 10月20日(金) 18:00〜
会場       PGI
定員        30 名
参加費    500 円(要予約/当日お支払い下さい)

 

申込み方法: 電子メール、またはファックスにて下記申込先までご連絡下さい。

電子メールでお申し込みの方は件名に「三好耕三トーク」と明記下さい。
申込先: MAIL.info@pgi.ac

     FAX. 03-5114-7936

三好耕三 (みよし こうぞう)

1947年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。

近年の主な個展に「RINGO 林檎」PGI(2015年)、「SABI」フォト・ギャラリー・インターナショナル<以下P.G.I.>(2013年)、「YUBUNE 湯船」P.G.I.(2012年)、「櫻」1839當代画廊(台北2011年)、「SEE SAW」P.G.I.(2010年)、「SAKURA 櫻覧」P.G.I.(2009年)、「津々浦々」P.G.I.(2007年)、「Tokyo Drive 東京巡景」P.G.I.(2006年)、「Seagirt海廻り」P.G.I.(2004年)、 「SAKURA 櫻」P.G.I.(2003年)、「CAMERA 写真機」P.G.I.(2002年)、「Tokyo Street 横丁」P.G.I.(1999年)、「In The Road」P.G.I.(1997年)がある。

2017年「Longer Ways to Go」(フェニックス美術館)、2015年「In the Wake: Japanese Photographers Respond to 3-11」(ボストン美術館)、2014年「スピリチュアル・ワールド」(東京都写真美術館)、2012年Amherst College Mead Art Museum展覧会「Reinventing Tokyo: Japan’s Largest City in the Artistic Imagination」展に参加。

作品は東京国立近代美術館や東京都写真美術館、ジョージ・イーストマン・ハウス国際写真美術館(U.S.A.)、アリゾナ大学センター・フォー・クリエイティブ・フォトグラフィー(U.S.A.)、ヒューストン美術館(U.S.A.)などにコレクションされている。

 

 

 

PGI Exhibitions

2015.10.27 12.26 RINGO 林檎
2013.10.8 11.16 SABI
2012.11.6 12.22 YUBUNE 湯船
2010.11.4 12.22 SEE SAW
2009.11.25 12.25 SAKURA 櫻覧
2007.10.10 11.10 津々浦々
2006.4.5 5.19 東京巡景
2004.9.3 10.15 海廻り
2003.4.1 4.25
2002.4.3 6.1 CAMERA  – 写真機 –
2001.9.3 9.29 富士登 ふじのぼり
1999.11.8 12.22 「横丁」
1999.1.11 2.10 「In the Road」
1997.9.24 11.14 「In the Road」
1996.10.1 11.15 「CACTI Landscapes」
1995.9.28 11.10 「カクタイ」
1995.9.1 9.29 「飛行場」
1994.6.2 7.15 「Southwest」
1993.10.5 11.10 「Chapel」
1992.8.27 9.30 「タイ・ループ」
1989.10.3 10.31 「温室」
1987.11.5 12.5 「傍観」
1985.10.3 10.31 「天真爛漫」
1983.9.9 9.30 「See Saw」
1979.10.11 10.20 「Exposure」