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©Kozo Miyoshi
三好耕三は現代日本を代表する写真家です。1981年から8×10インチ判の大型カメラによる撮影を始めた三好は、これまでに幾つものシリーズとしての作品を生み出してきました。日本各地の風景の中にたたずむ子供たちを捉えた「Innocents 天真爛漫」(1985年)、日本の原風景を捉えた「Picture Show 傍観」(1987年)、「Conservatory 温室」(1989年)など、人々の心に残る名作があります。90年代にアメリカにしばらく滞在した間も 8×10の撮影を続け、帰国後も作者は再び日本各地を旅して撮影を続け、「Sakura 櫻」(2003年)、「Seagirt 海廻り」(2004年)、「Tokyo Drive 東京巡景」(2006年)などの名作を発表しています。
「私の写真は旅から生まれる」と語る作者は、軽やかに車を走らせ日本全国津々浦々を旅して、心惹かれる光景に出会うと8×10インチ判の大型カメラをすばやく組み立てて写真を撮影してきました。四半世紀を超えてひたすら大型カメラで写真を撮り続けている作者は、「いつもとおなじように、時は過ぎ、景色は変わり、私は移動する」という旅を続けています。三好耕三の作品は、目に映る光景そのものを写し出し、その風土の奥底に横たわる「時のながれ」や日本人の「心」をも現しています。そして、見る人の潜在意識と響き合い、心地よい緊張感と落ち着きをもたらしています。
8×10インチ判の大型カメラを使い始めた当初から、大判のネガにも関わらずコンタクトプリントを好まなかった三好は、20×24インチ(全紙サイズ)のプリントを制作しています。「巨大な引き伸ばし機にネガを挟んで、レンズを通してその画像を拡大し、フィルムの銀粒子が見えるか見えないかの拡大率で停める」、これがちょうど20×24インチ大になり、「これこそが写真表現の醍醐味である」と語っています。数千枚に及ぶ8×10インチのネガは、積み上げると作者の背丈を超えると云います。この膨大なネガの中から、「日本: 津々浦々」の写真を選び出したのが今回展示される作品です。
本展では、40余点のモノクローム作品を展示致します。
三好 耕三(みよし こうぞう)
1947年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。1986年日本写真協会新人賞受賞。
近年の主な個展に「Tokyo Drive 東京巡景」P.G.I. 東京(2006年)、「Seagirt 海廻り」P.G.I. 東京(2004年)、 「SAKURA 櫻」P.G.I. 東京(2003年)、「CAMERA 写真機」P.G.I. 東京(2002年)、「Tokyo Street 横丁」P.G.I.(1999年)、「In The Road」P.G.I. 東京(1997年)がある。作品は東京国立近代美術館や東京都写真美術館、ジョージ・イーストマン・ハウス国際写真美術館 (U.S.A.)、アリゾナ大学センター・フォー・クリエイティブ・フォトグラフィー(U.S.A.)、ヒューストン美術館(U.S.A.)などにコレクションされている。
PGI Exhibitions
2020年 | 「櫻 SAKURA」 |
2019年 | 「繭 MAYU」 |
2017年 | 「On the Road Again」 |
2015年 | 「RINGO 林檎」 |
2013年 | 「SABI」 |
2012年 | 「YUBUNE 湯船」 |
2010年 | 「SEE SAW」 |
2009年 | 「SAKURA 櫻覧」 |
2007年 | 「津々浦々」 |
2006年 | 「東京巡景」 |
2004年 | 「海廻り」 |
2003年 | 「櫻」 |
2002年 | 「CAMERA – 写真機 –」 |
2001年 | 「富士登 ふじのぼり」 |
1999年 | 「横丁」 |
1999年 | 「In the Road」 |
1997年 | 「In the Road」 |
1996年 | 「CACTI Landscapes」 |
1995年 | 「カクタイ」 |
1995年 | 「飛行場」 |
1994年 | 「Southwest」 |
1993年 | 「Chapel」 |
1992年 | 「タイ・ループ」 |
1989年 | 「温室」 |
1987年 | 「傍観」 |
1985年 | 「天真爛漫」 |
1983年 | 「See Saw」 |
1979年 | 「Exposure」 |